すし桶、関東では「半切り(飯切り)」とも言い、すし飯を仕込むのに混ぜる容器で、このままちらし寿司を盛ったりもする。前々から欲しかったのだが、なかなか買う機会が得られずにいた。
せっかくGomyo倶楽部でできた新米のイセヒカリ、この米は粘りがすくなく寿司飯に合うといわれている。以前のブログにも何度か書いているが自分でにぎり寿司を何度かやったことがある。なかなか美味しいものである。
一人でやるときはおひつでごまかしていたが、お客様に出すにはやはり半切りがないとみっともないではないか。以前、徳島の「司製樽」を調べてみたが、ここは注文生産で値段もかなり高い。香川では桶屋はないのだろうか?
そういえばかつて山の中を通りがかりに、桶を積んである販売小屋を見たのを思い出した。ネットで場所を確認して行ってみた。綾川町だった。案外近い。小屋は開いていて製品が見えたが誰もいない。奥に製材した木が積んである工場があったので声をかけながら進んでみると、若い人が出てきて応対してくれた。
すし桶は「吉野杉」と「土佐杉」の2種類作っていて、土佐のほうは赤身を主に使っているということだった。もちろん土佐にした。
値段は安い。7合入る13号(直径37㎝/内径34.5㎝)を蓋つきで買ったのだが4,800円だった。木曽さわらならこの1.5倍はするだろう。
ホームセンターなどで売っている安いやつはたいがい外国材である。国産材なら第一はまず「さわら」材を最上とする。次いでスギ、やや落ちてモミ。しかし、いまどきスギの桶はなかなか見ない。
赤みを中心にみごとな柾目が使われている。匂いもほんのり杉香がする。
厚みはしっかりある。
タガは銅製になっている。ずれどめの釘が打たれている。
しかし、蓋も美しいな・・・。
ただし取っ手はありほぞじゃなくてステン釘。まあこの大きさじゃこうなるでしょ。
というわけで、23日の新嘗祭(Gomyo倶楽部でいつもお世話になっている富田神社の催事に出る)のあとの直会(なおらい)が中止になったので、かわりにアトリエで宴をはり、この杉桶で寿司を握りたい。
店の若い彼は3代目だということだった。讃岐では昔から「ばらずし」が郷土料理としてよく食べられていた。木材の産地ではないが、すし桶はその時代から需要があったのだろう。
ともあれいい魚を仕入れなければ、お楽しみに♬