相変わらず10時過ぎには就寝して3〜4時に起きる習慣は続いているのだが、目覚めはいものの、昼を食べるととたんに眠くなるという現象も起きている。できれば常時1日1食(夕だけ)にしてみたいが、3時起きして夕方6時にただ1食となると、15時間も何も食べないことになるわけである。
さすがにそのあいだ間食はとる。僕の場合は果物やナッツ類、切った昆布などを用意している。そしてお茶を飲む。今日は朝の果物をやめたこともあるのか、空腹に耐えきれず昼前に1食目を食べてしまった。前夜の残りごはんにごま塩と納豆、それに残りの味噌汁に生卵を落として温めなおしたものでけっこうガッツリ食べた。
夜は魚をおかずに普通の夕食を摂った。入浴後、体重計に乗ってみると67.9kgだった。一時は66kg台まで落ちたのにまた増えてしまった。まあ体重を落とすのが目的ではないので落ち込んだりはしないが、このような早寝早起き&断油生活でも「しっかり2食」「座りっぱなし」の暮らしだと、ウェイトは徐々に増えていくようだ。
さて、今日は丸元式のお魚料理メソッドを紹介したい。購入→解体→あらでスープ→ピチットで干物仕込み→フードセーバーで保存→ビタクラフトで調理、という一連の流れである。
車で4〜5分も走ったところに鮮魚を看板にしているKというスーパーがある。開店と同時にトロ箱に入ったまま陳列された鮮魚を目当てにプロの料理人が買い付けに来るのだが、そのトロ箱は午後には引き上げられてしまう(多くは解体され店内でパッケージ販売される)。
つまり昼過ぎまでにそのスーパーに行くと、市場のような鮮魚の一本買いができるわけで、今日は徳島産のタチウオと鳥取産のイナダがいい感じで置いてあった。だがこれをさばいて処理する時間と心の余裕が、今日はなかったのでシズとシャケの切り身を買った。
シズはすでに加工済みでエラとワタが抜かれたものだが、前回のものより鮮度はよかった。鮭は北海道産の天然秋鮭で、今朝解体してパッケージされたのだろう。身の色と切り口の艶にそそられたし、切り身をビタクラフで焼いてみたいという興味もあった。
シズはクラゲを主に餌にしている魚だそうで、独特の肌合いをしており身はしまっているが骨はやわらかく、3枚おろしは注意が必要だ。
頭と中骨はすぐにスープをとる。あらは腐敗が早いので先に処理するのである。水からアク取りしながら40分くらい弱火で煮る。水は半分ほどに蒸発するので最後はちょっと水を足すことになる。
身のほうはザルにのせ両面に塩を多めに振って冷蔵庫に 30分置く。
それを水洗いして水気を拭き取り、ピチットで重ならないように包む。これはサイズ250×180mmの「ピチットミニ(36枚ロール)」のものである。それを2枚使った。
それぞれ1つずつ専用袋に入れてフードセーバーで真空パックする。
こんな感じで2つできた。これを冷蔵庫で保存すると明日から1週間〜10日くらいのあいだ、干物として食べることができる。時間がたつにつれ水分が抜けていくので、食感や味も変わるのだが、それぞれの味わいがあって美味しい。
生鮭は軽く塩をして出た水分を拭き取ったのちピチット→フードセーバーという同じ工程をとる。今夜1きれ食べる予定なのだが、こうしておくと水分が抜け臭みがとれて美味しくなるのである。
また、気が変わったり突然の用事ができて食べれなかったときも、この処理をしておけば安心である。取り出すときカットしてもまだ数回は同じ袋を使うことができる。およそここまでの処理が1時間。そこからまた机に向かって仕事。
というわけで夕刻に鮭を取り出してビタクラフト鍋で焼いてみる。ピチットとフードセーバーの中には3時間ほど入っていたわけだ。軽く塩をして、身に当たる部分だけオリーブオイルを敷いて皮目を上にのせ、蓋をして弱火、ソテーにする。
魚は返さないでも蓋の反射熱と水蒸気で蒸されて火が通る。皮も食べたいので仕上げに皮目をバーナーで焼いてみた。若干鍋肌にこびりつくのでフライ返しでうまく取る必要がある。
ご飯は2分づきにGomyoの赤米、あわのブレンド。朝からひよこ豆を水に浸けておいたのでフムスを仕込んだ。これはレタスにくるんで食べる。
シズのあらでとったスープを使って味噌汁にした。こくがあるいいダシが出ている。臭みはなく、黙って出せば魚のあらのベースとは気づかないだろう。それでもネギかタマネギは使いたい。濃厚な出汁なのでワカメをたっぷり入れても薄まらない。
生鮭は小麦粉をつけたムニエルやフライにしがちだが、このソテーだと独特の繊細な風味が味わえる。ビタクラフト鍋だと蒸す工程が加わっているため、全体としては80~90℃の加熱でタンパク質の熱変性が行われ、魚のうまみが最大限にひきだされるのだ。
イワシやサンマの塩焼き(丸元淑生は「塩蒸し焼き」と名付た)もこのビタクラフトのやり方でできる・・・というのは驚きである。丸元淑生はこの調理法についてこう書いている。
ビタクラフト鍋を使うと、さんまもいわしもこのようにかんたんに焼けるのだが、私はそのことに気づくのに何年もかかった。
わかってしまえば何でもないことだけれども、それがわからなかったのはやはりコロンブスの卵のようなものだったのだろう。私もまた、従来の料理書や旧来の食習慣、食通の談義、等々からの圧力を受けていたのだ。私以外に誰一人この発見をしていないことに対するおそれもあったに違いない。(中略)
こうやって蒸し焼きにすると腹のなかのものはすべて食べられる。いわしは最高のオメガ3(EPA、DHAなどの脂肪酸)源だが、オメガ3は酸化しやすく、黒焦げになるまで加熱するとせっかくのオメガ3が酸化して有害になる。この蒸し焼きならばその心配はない。(『丸元淑生のシンプル料理』)
さんまは長いので腹を切らない尾の部分で2つに切ってやると、鍋に入る。魚を並べたら酒をほんの少し(大さじ1程度)加えておくと下側の加熱が過ぎる前に火が通る。
酒をやや多めに入れ、醤油をたらして蓋をして同じように加熱すれば、煮魚になる(今日は20cmくらいのノドグロが980円で売っていた。煮たら美味かっただろうな・・・)。ガス台も汚れず、蓋をして中弱火でできてしまうので、その間ほかのことができるのも超便利なのだ。
この調理法が初出したという意味でも『丸元淑生のシンプル料理』は重要な記念碑的料理書といえる。