アトリエのクローゼットはベッドルームに3スペースとってあり、建設費コストダウンのためドアは付けずに突っ張り棒にインド綿のカーテンを吊るしてある。ちょうど階段の裏側にあたるスペースで、一部は天井が斜めになっているのだが、いずれもカーテンを開けたくない、という状態がここ数年続いているわけである(笑)。
妻のyuiさんが服持ちだった。彼女は着物もやるので和服のストックもかなりある。僕とパートナーを組んでからは服の買い物などほとんどしたことがないはずなので、おそらく昔からの持ち物と、そして実家に一度滞在した時期に昔のものを回収してきたのかもしれなかった。
とにかく、まずはビニール袋を買いにいった。そして僕が日常使っているドアに一番近いコーナーを片付けていく。
【全捨離】がいいのは迷わなくてすむことである。とにかく迷ったら捨てるを繰り返す。これが単なる整理だったらとんでもなく時間を食うはずだ(だからずっと片付けができなかったのだ)。
アフター。しばらくぶりに床板を見ました(笑)。
真ん中がほぼyuiさんコーナー、2つの収納ボックスはきっちり折りたたまれてぎゅうぎゅう詰めになっている。捨てるのは思い出を捨てるようなもので複雑な気持ちになるが、振り切って捨てる。
袋は70リットルあるのだがどんどん増える。ただし詰めすぎると重過ぎてビニールが切れてしまうので注意が必要だ。
とりあえず和服関係はそのまま保留して和室に移動、ようやくすっきり。結局、袋の数はなんと10個にもなった(!)。
一番奥のクローゼットはジャケットや礼服などを吊り下げており、下のスペースには和服の束。そしてその奥の階段下には僕の作品の格納庫になっている。
yuiさんの表装作品もある。ここまで床板が見えたのは引っし以来のことだ。ここはときどきネコが潜り込むので、ゲロや下痢の跡はないだろうか?と心配でもあった。掃除機をかけて作品の種類や状態を確認するのだった。
一息ついたところで、yuiさんが使っていたベッドを片付けようと思い立った。このヒノキベッドはフレームを分解して畳むことができるのだが、段ボールを断捨離して下屋に壁が現れたので、格納する場所ができたこともある。解体・移動後、僕のベッドをやや中よりに据え直してみた。
櫻庭氏は、床面積を取るため寝室のベッドはNGと言っている。下部にほこりが溜まりやすく、マットレスなども日光に干すことができないからだそうだ。そのようなベッドに長年寝ている人は、運が開けないし病気がちになるという。
しかし、さすがにこの洋間には布団敷きは似合わない。このベッドはヒノキすのこの柔軟性のあるフレームなので、分厚いマットレスは使っていない。ぐるりに空間ができたことでベッド周り・ベッド下の掃除はラクになった。だから大丈夫と思う。さっそく掃除機をかけ雑巾掛けをした。
そして納戸にお蔵入りしていた空気清浄機を取り出してセットした。これは引っ越し時に何かの景品でもらったものだが、最初仕事机の脇に置いておいたのだが、じゃまになって仕舞い込んでいたもの。ここにはピッタリ合う。
さらに額絵を置くことにした。配線隠しにもなるし、スペースがちょうどいい感じに埋まる。
26年前に描いた新聞連載用の原画である(「トライとらい/自然に親しむ」『みんなとプ-ク』(人形劇団プーク機関紙)。思えばちょうどマクロビにハマっていた頃の作品である。
額装は2003年の個展のとき作られたものだ。この手書き文字の作品、今ならiPadで描くところだが、当時は厚トレにピグマペンだった。しかし、こうして取り出してみると原画もいいものだ。デジタルはたしかに便利だが、出力原画では息遣いが届くようなリアルさがない。
断捨離の空気感、抜け感。そしてベッドの移動と絵の出現、おかげで空間がガラリと変わった。すごいもんだな・・・。
(続く)