大地の再生@北九州・須佐神社(今井祇園)/1日目後編


今回は学術連携で協力していただいている新潟大学農学部の粟生田忠雄(あおうだ ・ただお)先生がデーター採取で参加してくださった。まずは「貫入式土壌硬度計」で土の硬さを測る機械装置である。

先端の貫入抵抗が、深さごとにアナログで自動的にグラフ化されるようになっている。次回同じポイントで計測すればその差で施工による効果がデータとして取れるというわけだ。

こちらは「現場浸透能」。塩ビ管を地面に挿して水で満たし、時間ごとの水面の下がり具合を計測する(これについては翌日矢野さんから計測誤差について意見が出た)。

午後から矢野さんは山側に回り、本殿の裏側の擁壁の基部を掘り始める。

擁壁は高さこそないものの、天端の厚みは30cmほどもあり、かなりの荷重で土を押さえつけている。

擁壁の基部から伸びた水脈溝に炭と枝葉を入れて行く。

擁壁の上部はバケットで軽く掘った(掻いた)上に杭を打って、枝をまわした土留め柵を作っていく。

45度の角度で交互打ちして番線で止めていく。ここは2つの本殿の間に当たる場所。

杭の山側に枝葉が敷かれる。土留めにはちがいないがこれだと空気が通り環境への負荷が少ない。木杭はいずれ腐るがその頃には周囲の樹木が元気になり、その根が伸びて土留めを担うようになる。木杭はそれまでの根の代役だということができる。

本殿・拝殿はいちばん山側にあり、その両脇から気水脈をスムーズに下流側へと導くラインを作っていく。

こうして1日目が終わる。感想会をもって今日の作業と明日の予定を確認しあう。今回の作業には地元の氏子の方々や、西日本や九州の大地の再生メンバーが集結した。

神社のパンフレットに描かれた地図(鳥瞰図)である。明日は「上の駐車場」との間にある崩壊地の処理、そして下の駐車場と鳥居周りに手を入れる。この絵では一番下の鳥居横に池があったことがわかる(昭和期の造営でこの池は埋め立てられた)。

夜は地元の方々のお誘いで歓迎会。神社の再生と祭りの復活を待ち望んでいる皆さんの熱意が伝わってくる。どこでもそうだが昔の技術を体現できた長老たちが亡くなり、かつ少子化で人手が足りないこと(伝承の断絶)、加えて現代土木と異常気象が樹木や地形の荒廃を加速させていること(物理的な崩壊)・・・規模はどうあれこうして途方にくれている社寺が全国にたくさんある。

土地土地の氏神様は、本来なら鎮守の杜の手入れを通して水と空気の自然のシステムを確認し合い学ぶ場でもあったろう。実際、そのような重要な拠点に社寺は作られていることが多い。そのよりを戻そうとすれば人は必ず「大地の再生」技術にたどり着く(結のシステムを積極的に取り入れてきたこともポイントである)。


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