『辰巳芳子の「さ、めしあがれ。」』は、マガジンハウスの雑誌『クロワッサン』の連載を書籍化したものだそうだが、その内容は非常に深い。
「一椀で栄養がとれるスープと、もう一品、おかずがあれば。立派な献立となります」
というコンセプトでまとめられたこの本は、「第1章 基本の出汁」から始まる。この中に鰹節の出汁があるのはもちろんだが、煮干しの出汁の項もあって辰巳芳子もまた香川伊吹島産のいりこを愛用していることを知らされる。
私は頭もはらわたも取らずに使うのが常だが、この本で推奨するのははらわたを取り、身を裂き、炒ってから粉にして保存するのである。
ちょうど新しい伊吹島産のいりこがあったので袋をひらいて同じように粉いりこを作ってみた。
これを瓶詰め保存し、1時間ほど水に浸けてから弱火にかけ沸騰したら2〜3分で漉す。同時に別鍋で昆布と干し椎茸の出汁をとってこの中に合わせるのが基本の煮干出汁。さてどんな味になるか愉しみ。
明日からアイスバインの塩抜きを始めるので香味野菜を煮た溶液を作っておく。
夜は焼き餃子を作ったのだが、鉄のフライパンでやったら見事にくっついて皮がぐしゃぐしゃの大失敗。せっかく白ワインを冷やしておいたというのに・・・。
ちょっと寒い夜だった。気を取り直して久々に囲炉裏暖炉を灯す。
読書を続けていると『仕込みもの』の中に「魚の昆布じめ」に使った後の昆布の再利用の仕方が載っていた。
「使った後の昆布は焼酎にくぐらせてから風干しにし、小さく切って瓶に保存します。みそ汁や煮物の出汁に用いると、魚の味もしみ込んでよい味です。」
とある。私は辰巳さんがすっかり好きになり信頼することになった。