ワラビのお蕎麦、サワラとタイラギの西京焼き


木灰と熱湯をかけ、さらに水を替えて3回ほどさらしてアクを抜いたワラビだが、これがなんともやわらかく、ぬめっとして美味しいこと! アク抜きはもっと手間がかかり、かつ微妙な勘どころがむつかしいのでは・・・などと思っていたが。

うむ、これは実に美味しい♬ こんなことならもっとワラビ採りに精を出せば良かった。木灰を使うやり方は実に簡単だ。きっと木灰を失ってしまったことが、ワラビを皆から疎遠にさせてしまったのだろう。

稀代の食通、北大路魯山人のエッセイに「海にふぐ山にわらび」という一文がある。

私は海から最高の美食の対象としてふぐを挙げることをためらわなかった。それでは山からはなにを――ということになるだろうが、差当って私はわらびと言いたい。わらびはもちろん取りたてでなければいけない。型の如くゆでて灰汁あくを抜き、酢醤油で食う。これが実に無味の味で、味覚の器官を最高度にまで働かせねば止まないのである。
海にふぐ、山にわらび、この二つ、実に日本の最高美食としての好一対であろう。

これは「青空文庫」で公開されている。短文だからぜひ読んでごらんなさい。

海にふぐ山にわらび 北大路魯山

さて、コロナ騒動で締め切りが伸びた確定申告もいよいよ期限が近づいて、お尻をアッチッチしながら、弥生ソフトを駆使し帳簿や申告書をまとめる日々が続いているのであった(笑)。

そして夜、まずは炭に着火。

ガス台で火を点けてから箱火鉢に移動して、息を吹きかけよく炭火をおこしておく。

銅線の焼き網にハケで油をひいてから、西京味噌に漬け込んでおいたサワラとタイラギを焼く。

う=、なんともいい匂いだ・・・

ワラビを付け合わせてみた。サワラもタイラギも西京焼きに実によく合う。炭焼きの香ばしさがまたいいのだ。しかしなんという食べ物なのだろう。まとわりついた味噌は臭みを吸ってもう使い物にならないから、捨てるわけだが・・・なんとも贅沢な食べ方である。これは貴族の食い物だ。

タイラギとホタテのちがいはその身の緻密さにある。熱が入るとタイラギはその貝柱の繊維がわからないほど弾力をもつ。そして甘味と香ばしさが強い。ごくたま〜に○ナカで瀬戸内産のタイラギが売っているので、みつけたら一度は清水の舞台から飛んでもいいだろう(笑)。


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