新国立競技場


秋葉原から総武線・中央線で千駄ヶ谷へ。2年3ヶ月のサラリーマン時代、会社は代々木にあったので、この界隈から原宿あたりは昔よく散策した。駅から歩くと競技場が近づいてくる。

隈建築らしい、予想通りの美しさだった。外周には工事のゲートが張り巡らされて、まだ一般には中に入れない。

新国立競技場、別名「杜(もり)のスタジアム」は、外周の軒庇(のきびさし)や屋根に47都道府県のスギ材を使い(沖縄だけはスギを産しないので材質が近いリュウキュウマツを使う)、楕円型の軒にその産地の方角に放射状に配置してあり、「全国の人々が心を一つに」の願いが込められている。ただし1番上にある5階の大庇は、耐久性を加味して木目調をデザインしたアルミを使っているそうだ。

そしてエントランスゲートの軒には、北側と東側は東日本大震災で被災した岩手、宮城、福島の各県の木材を、南側ゲートは熊本地震で被災した熊本県の木材が使われているという。

都道府県での調達量は、1自治体当たり1.5〜3㎥。合計145㎥、被災県については4県で40㎥となる。そのスギ材は住宅の間柱として全国に流通し、調達しやすい105×30㎜の板材を用いている。新潟の「アオーレ長岡」を思わせる使い方だ。

しかしそこは隈研吾、ただ単純ではない。よく観察すると軒の各所で幅やピッチが微妙に変化している。どこか有機的なのである。これを「大地の再生」的に読み解くと、自然に風が生まれかつ目に優しく美しい(耐久性も高くなる)・・といえる。そしてそのような建築は周囲の自然(樹木)にもよく馴染む。

「平成30年1月22日 新国立競技場に関する 定例ブリーフィング(第22回) 配布資料」がネットで閲覧できるので、こちらを見るとこの競技場建築のコンセプトがよく理解できるだろう。しかし、ザハ案がポシャって本当によかったなぁ。

国産木材の利用による“杜のスタジアム”

このイベントをきっかけに、スギというものの存在、人工林の現状、その解決策や木の住まいというもの、それらに全国民が気づき、覚醒してくれることを期待している。近くにオリンピックの展示館のようなものができており、外国人観光客がたくさん来ている。

そして高校生たちはスマホで撮りまくり(笑)。

さてどうなることやら東京五輪・・・。

(続く)


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