あふちと栗の花


センダンが咲き始めた。これは農免道路から直売所のフルーツの里に降りていくところのお墓にある大木である。センダンは香川の山の松枯れ跡にたくさん自生している他、お墓でよく見る木だ。香川の古いお墓には小さな火葬場の跡があったりしてけっこう怖い。

秋にできる目立つ大きな実にはサポニンを含むため、食べると中毒を起こしときには死に至るというから、シキミと同じように、かつての土葬墓の野生動物による掘り起こしを避ける目的もあったのだろうか?。

センダンは古くは「楝(おうち)といい、平安時代には獄門の前に植えて罪人の首をかけたという(『平治物語』)。火葬の薪や死者の杖、あるいは棺桶にもされたそうで、 今でも病人が絶えないとか家運が傾くと言い、屋敷に植えるのを嫌うところが多いそうだ。

でも爽やかな初夏の空に映えるセンダンの若葉と淡い紫色の花が、僕は好きだ。

そして花の匂いもなかなかいいのである。アゲハチョウ類がよく訪れるそうだが、あまり見たことはない。クサギのほうが訪花は多いと思う。

「栴檀は双葉より芳(かんば)し」ということわざがある。これはセンダンではなくビャクダン(白檀)のことだ。南方熊楠の家の庭には大きなセンダンの木があり、昭和天皇への御進講の日は、ちょうど門出を祝福するように紫色のが空一面に咲いているのを満足そうに見上げていたという。

有難き御世にあふちの花盛り

そのときに熊楠が詠んだ句である。臨終の日に「紫の花が見える」と言ったのはセンダンのことだと言われている。

さて、こちらは我がアトリエのクリの木である。この家を建てたとき、将来のシンボルツリーとしてカツラと共に最初に植樹したものだ。昨年あたりからようやく大きくなり始め、今年は花をたくさん咲かせている。

クリの花は独特の臭いがあり、昆虫を集める。キイロトラカミキリ。

コアオハナムグリ。今年は庭のクリが食べれるだろうか?

このところ、ずっと「大地の再生」のテキストやマニュアルの構成に追われている。夜は買い物にも出ず、冷凍してあったスペアリブのカレーを解凍してパスタ。これならお湯を沸かすだけで作れる♬

センダンが咲く頃になると熊楠の記念館に行ったことや、神島に渡ったことが思い出される。センダンはまた、クマゼミ樹液を吸うのに大好きな木でもある。


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