大地の再生@仙台秀明/3-1,有機アスファルト、その混合割合とコツ


さて有機アスファルト敷設の朝。これがアスファルト合材に混ぜられる木質チップである。廃材や製材で出る樹皮部分などを粉砕したものだ。かなり粗くて個々の存在感がある。

セメント粉を準備し、水まきを指導する。水のまき方一つにもコツがある。ムラなく素早くまいていくための首の振り方が肝要。

最初にアスファルトが敷かれる場所はやや地面が高かったようで、少し修正をかける。

トラックが入る場所にパネルやブルーシートを敷く。

まず一杯目のトラック(4トン)が来る。

アスファルト合材の温度は165℃以上で作られる。現場での初期締固め前の温度は110℃以上と規定されている。つまり、冷めないようにシートをかけられながら、かなり熱い温度で現場に到着するわけである。

まずは「下地」を作る。地面の土にアスファルトとチップを混ぜ込んでいく。

アスファルトの山にもチップをまいて、バケットで攪拌する。下地は「現場土3:アスファルト1:チップ0.5」くらいの割合になる。

同時に水を散布する。水はアスファルト合材の熱で水蒸気化し、水と油が融合しつつ微細な空隙を作る

下地、接写。

そこにセメント粉をまき・・・

転圧をかける。下地の厚みは転圧後15㎝程度になっている。

2杯目のアスファルト到着。トラックの荷台の中でチップを混ぜていく。これもドサっと1箇所に放り込むのではなく。攪拌が満遍なくうまくいくように配慮する。

ここから本番の有機アスファルト舗装が始まる。レーキを使って下地の上に均していく。この均し方が重要で「手に伝わってくる重みが一様に感じられるように体で厚みを計る」。この日、矢野さんは終始ご自分でレーキを率先して動かしていた。それほど重要なことなのだろう。

プレートで転圧をかける。

重機のバケットでトラックの荷台から下地に小山盛りで落とし、それをレーキで均していき、転圧をかける・・・という作業が連続して行われる。

最後にローラーで転圧。最終的に舗装厚は5㎝程度になる。

そして水をかける。

その上に砂をまく。

ホウキで砂を均していく。

その上にチップをまく。

もうアスファルトにはぜんぜん見えない(笑)。

3杯目到着。

一度に大量に運び込むと、全部を均し終える前に冷え固まってしまうので、4トンずつ継ぎ足しながら施工していくわけである。継ぎ目の部分はチップを払い寄せて、新しいチップ入りのアスファルトを重ねていく。

継ぎ目は専用の道具で念入りに搗き固められる。

すかさずプレートコンパクターで転圧。

ローラーで転圧、そして砂まき→チップまき。

砂がアスファルトに吸着するので舗装道路には見えない。しかし表面は硬化している。

昼になり、食後に有機アスファルトについて矢野さんの解説があった。その中の話で、火山が爆発し、溶岩が植物や樹木を飲み込みながら、流れて固まっていく姿に、この有機アスファルトを重ねた話が面白かった。

そうして長い年月をかけでできた火山岩は、有機物が混入したおかげで空気や水を通しやすい岩になる。だから、火山岩のあるところには豊かな自然がある。

一般的なアスファルトやコンクリートは空気や水が中を通らない。有機アスファルトはこれら従来の舗装とまったくちがうもので「空気と水を通すためのアスファルト」である。

下地にもアスファルトや有機物を混ぜることで、分離した層にならない。完成後、ひび割れもできるが、それは空気や水の通り道のためのひび割れで、場を生かすプラスのもの。一方で普通のアスファルトは剥離のひび割れで、淘汰であり風化なのだ。

(続く)


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