大地の再生@仙台秀明/2-2,二つの沼を巡って


午後から一人で調査に行く。赤丸が「仙台秀明」今回の現場である。地図を眺めて前々から気になっていたのだが、住宅地に囲まれながらも北側と南側に緑地と池沼がある。そしてグーグルマップには与兵衛沼公園の方に「ホタルの里」というピンが立っている(緑丸)。その両方を見に行くことにした。まず北側の池から。

国土地理院地図より

住宅地の坂を下って行くと、忽然と池が現れる。池畔の木々はなかなか立派である。

この道は行き止まりだったので西側に回り込んでみると、公園の案内板が立っていた。この池は「大堤(おおつつみ)」または「安養寺上堤(あんようじかみつつみ)」と呼ばれている。

ちょっとカブトムシやクワガタくらいは採れそうな雑木林である。

湖面をちらちら眺めながら周遊できる散策路があって、

「道路が狭いので注意して歩いてください」の看板あり。左手はすぐに住宅地だ。

堤の所に来た。フェンスがあるので池には近づけない。

マガモが泳いでいる。カワセミなども居そうな雰囲気である。

なかなかオシャレな看板なのだが・・・

そしてベンチなどもあるのだが、ここまで一人だけ散歩(というか近道だから歩いている、という風だった)の人を見たきりだ。草刈りの手間はかけられているようだが、周囲はヤブ化しており、あまり雰囲気はよろしくない。

案内図の南入口から公園を出て住宅地を横断しながら南下してみる。しかし一歩住宅地に入ると家と道路だけの世界。このギャップは新興住宅地ゆえに、古い家のお屋敷の緑がない、垣根がないことにもよる。

幹線道路をくぐって南側の池「与兵衛沼」へ。こちらも大きい。そして樹林帯の緑地部分が広い。

ハクチョウが来ているようだ。餌を投げている。与兵衛沼の「与兵衛」とは人の名前である。仙台藩士「鈴木与兵衛」が私財を投じて造った灌漑用水用の沼だという。グーグルマップには仙台秀明の現場近くに「蟹沢」という地名があるが、おそらく湧水などの水源があったのだろう。

「今昔マップ on the web」というサイトで昭和5年(約90年前)の地形図を見ることができるのだが、一体は広大な山林であったことがわかる。急激に開発、宅地造成されたのは60年代から70年代にかけてである。

今昔マップ on the webより

とくにこの二つの沼の北側に広がる南光台と呼ばれる住宅団地は、山林や牧場として利用していた土地を地元の企業「関兵精麦株式会社」が宅地造成したことで有名である。関兵精麦(せきひょうせいばく)は創業者である関兵馬が戦前「米穀餌料の卸や精麦」を手掛ける商店として仙台市に創業。戦後、不動産業に転じる。

農地改革の煽りで土地を失った地主が、カネに困って放出した山林を安く購入し、ニュータウン「南光台」として分譲を始めた。宅地開発で得た資金を下に、海上運送や土木工事、石油販売と様々な子会社を設立して勢いにのる。加えて兵馬は自らが所有していた山林の一部を関兵精麦に売却し、1971年の高額所得番付では全国1位にランクインしたほどだという。(以上wik)

ホタルの里にも行ってみた。周囲の水路でカワニナを育てているらしい。

そのまま沼の北側の遊歩道を堤まで戻ってみる。林内はアカマツが多いのだが、マツ枯れがひどく、枯れたマツを切り刻んで薬剤燻蒸をしている場所が次々と現れた。

年輪は緻密で、樹齢は100年以上のアカマツである。本来なら最高級の建築材(とくに横架材)になる木材である。

ハクチョウの餌やり場に来た。

東屋にネコもいる。こちらは散歩している人がけっこういた。しかしこの沼、実は仙台の都市伝説ではかなり有名な心霊スポットらしい。気脈・水脈が詰まっているからマツが枯れたり周囲がヤブ化したりするわけで、まあオバケが好む負の雰囲気があるのは確かであるが(笑)。

幹線道路を歩いて秀明の現場に戻る。道路も観察すると相当な量の切盛土をしていることがわかる。

竹垣が完成していた。

明日の舗装準備も万端のようだった。

その後、HPの担当者らとスタバで打ち合わせ。進行を見せてもらっていろいろアドバイスする。夕食は、宿の皆が「丸亀製麺」に行きたいというので僕もついていく。讃岐うどんの本場から仙台に旅しているというのに「丸亀製麺」というのもなんだが(笑)、店に着くと宮城の牡蠣を使った『牡蠣づくし玉子あんかけ』というメニーを発見して迷わずそれを。天ぷらは「ホッケ」を取ってみた。これも香川にはないな。

宮城の牡蠣はウマイ! 味が濃いんだよね。このメニュー、東北限定?・・・と思いきや、11月13日から全国的に販売する新メニューで、12月中旬までの限定らしい。

その後、皆と部屋飲み。大地の再生にまつわる職人さんたちの本音を聞きつつ深夜まで。これも貴重な取材となった。


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