大地の再生講座・岩手@ルーデンス農場1/草地と森と水路の機能


実は4日まで仙台の取材をするつもりでいたのだが、矢野さんが岩手講座に行くというのでそれに同行することに。場所は八幡平の「ルーデンス農場」。早朝に宿を出て、事務局のWさんの運転で矢野さんと現場へ向かい、打ち合わせを済ませた後、仙台駅へ。ここでWさんは帰京。私と矢野さんは盛岡へ向かう。快晴の盛岡駅から雪をかぶった岩手山が見えた。今日の講座場所はこの岩手山山麓にある。

駅前レンタカーで講座会場へ。八幡平は言わずと知れた東北の一大名所だが、農場はずっと手前、岩手山の麓にある。今日はものすごい晴天のなか、雪をかぶった岩手山が近づいてきて感激。到着すると動工具車の前でメンバーが道具を出していた。

すでに座学が始まっており、Tさんがスライドで解説していた。

矢野さんに替わって講座再開。真ん中は環境活動家の日野雄策氏。矢野さんとは旧知の仲で対談本の共著がある。左が農場主の梶本敦子さん。梶本さんは9/8国際交流村で行われたお祭り「オーガニックフェスタ」で矢野さんらのトークライブを聞いて、講座開催を決めた。

日野さんはさすがに国際的な環境問題にも詳しく、現在アメリカが治水ダムを造らなくなり、代わりに下流域に洪水のための保険をかけている(そのほうが経済的)とか、オランダの空気と水通しのいい石の土木を、地域ぐるみで石工が修復しているとか、そんな話が聞けていろいろ面白かった。

外に出る。ここルーデンス農場は「農場キャンプ」というイベントを開催してい人気らしい。

岩手山を望むすばらしいロケーションだが、矢野さんは、

「この地の大地の循環機能を保つには、この緩斜面は森である必要がある。今は草地だから、人がケアして支えていく必要がある」

と口火を切った。森を伐って農地を作ったときに、血管のような水脈・気脈が重要になってくる。本来ならこの時期の東北の紅葉はもっとずっと鮮やかであるべきなのに、葉っぱが枯れたような表情になっている。

良い森はツル草でふさがったりしない。中高木の枝枯れの跡をツル草がびっしりと覆っているのは、大地の水通し風通しが悪い証拠。

農場に小川が流れている。その途中に重機で掘って作ってもらったという池は、黒い泥アクが溜まってちょっと陰気な感じだった。このような池は入りと出のバランス調整が重要。リズムが狂うとアクがたまる。

上流へ。ここは一番鮮やかな紅葉だった。

小川に木で堰をつくって流速を落としているところ。下流に石を積みすぎて重くなっている。止めがキツいと上流にヘドロがたまる。木と石の間に落ち葉が詰まっていたのを取り去ると、気持ちの良い水音に変った。しかしやりすぎてはいけない。

岩手山を眺めながらさらに上流へ。

夏の間、背の高いイタドリが繁茂した跡のある典型的なヤブ。

その上流はコンクリートU字溝が入っていた。U字溝の中の落ち葉や泥はすべて取り去るのではなく、障害物を上手に利用しながら、走り過ぎない等速な流れを作ってやるとよい。

土手の木に立ち枯れがおきている。この下は花も作物もうまく育たないという。斜面変換点なので土圧がかかり、土がグライ化しているのかもしれない。ギシギシが低くぺたんとしているのでおそらく粘土状だろう・・・と。

背後の構造物と波板で風をさえぎっているのも大きな原因。波板に風がぶつかると気圧が高くなり、土に圧力がかかり、水が溜まりやすくなる。ちなみに、枯れ木を伐採するときも根際でなくやや高伐りがよいとのこと。立木の揺れによる地中のガス抜き効果もバカにならないという。

ここで昼食。山梨大の准教授Yさんが途中から合流、この旅のかなでマニュアルの打ち合わせなど、理論的な付き合わせをしようということになっている。

(続く)


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