エコビレッジ敷地に戻り、重機を出す。前回の敷地整備の続き。水脈整備班と草刈り班、それに放置木材の片付けをそれを炭に焼く班とに別れて作業開始。時間は15:45とかなり押している。
結局、朝方検証した場所は掘り直して・・・
コルゲート管を入れる。
枝葉の有機材で覆ってとりあえずの完成。
草刈り班も作業開始。
まだ風の草刈り初心者の田中氏は、矢野さんからナイロンコードの出し方の指導を受ける。左右対称に1本ずつ出すのが一般的だが、大地の再生ではひと穴から2本のコードを一緒に出す。そして長さは15㎝程度。
炭焼きはまずバックホーで穴を掘る。深すぎず浅すぎず。掘り出した土は周縁にカマボコ型に築いて・・・
3方をクワで切る。ここが空気穴となる。穴の中央部には大きめの石が何個かあるほうがいい。これも空気が通りやすくなるため。
着火剤は、今回は新聞紙。
薄いスギ材を細めに割ったものを重ねていく。井桁・放射状が基本なのは焚き火と同じ。
新聞紙に着火。
最初のスギ材に火が移ったところでやや太めの材を載せていく。ここではクスノキ材の端切れ。矢野さんは井桁というよりも螺旋状に角材を置いていく。
その木に火が移ったのを確認して廃材を放り込んでいくが、空気の通り道がふさがらないように置いていく。
炎が上がりすぎたら湿った板材などを被せて火の勢いを弱める。ただの焚き火ではなく炭焼きなので、炭の歩留まりがいいように炎を調整するのである。炎をそのままにすると炭が残らず灰になってしまう。
もう1つの穴も作り始める。焚き火カマドの基本に3つ石置きがあるが、あれは上に置く器が3点で安定するということもあるが、3点から風が入ることによって渦流が起き、自然に火勢が安定するということもある。穴の堤を3点に切るのも同じ原理。
しかし、矢野さんは火に関しても達人だということが、この一連の動きを見てすぐ解る。
ある程度の量が熾ができたらトタンをかぶせる。
もう一方も。中央の炎の勢を弱め、周囲に燃え残る木に炎の熱が行き渡る効果がある。
火勢が落ちすぎるようなら、また材が減ったなら、トタンを開けて燃し木を追加する。
ここで矢野さんは「頃合いを見てトタンの周りに土をかぶせてください」と言葉を残して、再び重機へ。後は私が引き継ぐことになった。炭焼きは煙が多く出るので、消防署には事前に連絡しておいたほうがよい。
トタンの周りに土をかぶせるということは、燃焼の空気穴をふさいでいくということで「伏せ焼き」の原理に近い。すき間から見るとまだ中で炎が見えているが、
石などを置いてすき間を塞いでいくと酸素不足になって炎が消える。が、熱量だけは十分あるので残された木は蒸し焼きになり、煙だけが出てくる。まさにこれが炭焼きの状態なのである。
煙は最初白色の水蒸気が出るが、やがて水分が抜けると青みを帯びた薄い色の煙に変わる。そうなったらさらに空気孔を絞り、最終的には完全に塞いでしまえばいいが、簡易的に熾炭を得ようという場合は、ある時点でトタンを開けて・・・
水をかけ消火してしまえばいい。
奥で熱が抜けずくすぶり始めることがあるので、クワなどで掘り起こし十分に水をかける。
片方は生焼けが多く、もう片方はいい炭ができた。が、水脈に使う材としては生焼けのものも有用資材なのであまり気にすることはない。
片付けようとしていた廃材が炭にもなり・・・
水脈の有機物資材にもなる。一石三鳥である。
矢野さんは工場の建物周りの水脈を掘る。
炭まきは間に合わなかったが、チップのグランドカバーをまいておく。
建物から沢に落ちる水脈も掘られた。これで次回はまた劇的に改善が進むだろう。
敷地全景。この再生手法が一般化して、日本中で広まり始めたらどんなに素晴らしいことだろうか。田舎や山間部において、このような水脈の絶たれた工場敷地はかなり存在し、その改善は周囲の自然にも大きな影響を及ぼすと思うからである。
それにしても、前回の参加者が少なかったことが残念でならない。今回の劇的な変化をぜひ感じてほしかった。
大きな収穫と使命を感じて、夕映えの布引滝を後にする。
前回の参加者、大内さんのリポートでびっくりです
まだ、わずか1月半ですよ
これからどんなになるのか、まだまだ続くんですね
屋久島の自然度のエネルギーが高いということもあるのでしょうね。
矢野さんも前回「屋久島の改善は早い」と言ってましたから。その矢野さんにしても
一湊の変化は驚きだったようです。
私も今回アペルイ敷地とこの一湊の変化で、覚醒するような発見をしました。
エコビレッジ主宰のwakuさんから新設の建物のスケッチを見せてもらいました。
屋久島は「大地の再生」の世界的なセンターになっていくよいうな予感がします。