何度か書いてきたが、『Outdoor』誌に連載された「ここで暮らす楽しみ」というエッセイで山尾三省の存在を知った。三省には、それ以前に『縄文杉の木蔭にて』という屋久島移住間もない1978年から1985年までの文が綴られたエッセイがある。さらに続編『回帰する月々の記〜続・縄文杉の木蔭にて』があるのだが、そこには最愛の奥さんをくも膜下出血で突然亡くされた頃のことが書かれている。
私はとても三省のようにyuiさんの死の顛末を吐露する気にはなれないが、作家・詩人というものはこうまでして書かねばならないのか・・・という凄みのある文章が収められている。
最愛のパートナーを亡くしたという思いが重なって、この本には不思議な共感を得る記述がたくさんある。そして、私を三省の書斎に案内してくださった兵頭さんが、実名で何度も登場するのである。
屋久島で囲炉裏を操る三省・・・悲しみが深ければ深いほど、再び来る喜びは大きい・・・そんな希望も貰った。