男木島・石垣ワークショップ後編(その2)


昼はベースの「ドリマの上」に戻って昼食。

男木島の食材を使った自然食。これに玄米と味噌汁が付く。

なかなか手の込んだ一品もあり。

アケビの皮の味噌煮。

ヨモギの天ぷら。素材だけでなく調味料も厳選されているようで、ままごとのようなプレートランチなのに噛みしめているうちに充実してお腹いっぱいになる。

さて、午後の部。いよいよ積みに入る。丸太を台座にして小幅板をビスで打ち込み丁張(ちょうはり)を作る。石垣のツラを揃える基準線である。が、ここの石垣はややカーブしているのでこの基準も微妙にイレギュラーなのである。それでも丁張は必ず作っておいたほうがよい。

今回のミッションは私が1人で積むのではなく、ワークショップの参加者に石積みの感触と醍醐味を味わってもらうことだ。

しかし、1回の講義と数時間の体験で簡単にいくはずはないのは覚悟の上だ。まず石積みの要諦を頭に叩き込んでおき、そうして石を持ち上げたら、あとはすき間にうまく納まるまで自分で石を回してみるしかない。

しかし、やる気のある人は覚えが早いもので、無心にやっているうちにいつか石が納まるようになっていく。3時のお茶休憩までに、予想以上に高く積み上がった。この裏にはもちろん大量の裏込め石(割り瓦も含む)が充填されている。

午後もよく晴れて、風のない絶好の作業日和だった。なにより、この崩れた石垣のスペースと規模がよかった。まるでこの日のワークショプのために用意されていたかのような場所だった。

夕暮れまでもうひと仕事。瓦が足りなくなる。島の急斜面の道を、一輪車で取りに行く。男木島には車道がなく車も重機も入れない。

瓦を載せた一輪車の登りは、1人では持ち上げられないのでロープで補助する。島の人たちがそれを当たり前のように呼吸を合わせるのに感心した。

私が予想したよりもずっとうまくいき、足場が必要なほどに高く積み上がった。

しかし、上からの積みはツラが確認できないのでなかなか難しいのである。ここで終了して、次回はきちんと足場を用意するとよいだろう。

積み上がった石垣の前で感動の記念写真。

シートをかけて次回までの雨避けにしておく。

土や石などは歩行のじゃまにならないよう整理。土木工事は最後の掃除も大切。

着替えて最終便の船に向かう。ちょうど夕陽が沈もうとしていた。

めおん号の前で。今回、神戸から参加してくれたMさんと。彼が持参してくれた道具に助けられた。お土産に淡路島産の無農薬レモンまで頂いた。

こうしてワークショップ後編は大成功にうちに終了した。今回、島の人たちがやる気になってくれ、実際の作業に参加しながら石垣のすばらしさ、美しさを再発見してくれたのが良かったと思う。

自分で積んだ石垣は誇りに思うだろうし心の財産にもなるだろう。この石垣から新たな機運が生まれるとしたら、私も頑張った甲斐があるというものである。

洋上に月が出た。崩壊後の石を用いたので、泥で石がみな茶色だったけれど、雨を受けたら玄武岩の黒が出て、より美しい石垣が現れるだろう。

いずれそれを見に行きたい。


「男木島・石垣ワークショップ後編(その2)」への2件のフィードバック

  1. ブログ、初めて伺いました!!石垣のワークショップ主催のk(笑)です。お世話になりました。お月さまがきれいですね♪よく働く私達と石垣とワークショップの大成功を嬉しそうに見ていたことでしょう。

    おかげさまです!ありがとうございました!!!

  2. きっと男木島の精霊たち、石垣を積んできたご先祖様たちが、見守り応援してくれてたんじゃないかな〜。ちょっとした奇跡です。毎回こんなウマく行くと思わないでくださいね(笑)。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください