以前の丸元料理書ではブラックタイガーの頭と殻でよくエビのスープをとっていたが、『スープブック』の「海の幸スープ」では甘エビを使っている。で、思い出したのがアルゼンチン赤エビだ。近所のスーパーでちょうど安売りしてた♬
しかし、エビって頭と尻尾を取ると小さくなるなぁ。
それだけに頭と殻を使わない手はない。水から煮出す。けっこうアクが出る。網じゃくしを使ってよく取れるのでスープが減らない。30分ほど煮出して味見してみた。旨味の濃いよいスープが取れた。前にパスタにしたときの印象はイマイチだったが、やはりアク取りが重要なのかな。
身のほうはピチットにはさんで冷蔵しておく。明日まで刺身で食べれるはず。
頭と殻を漉し取ったスープはこんな色。エビの良い香りがしている。
昨日の魚のストックを冷蔵庫から取り出して、スパイス(コリアンダー、ブラックペッパー、カルダモン、ローリエ)を入れて、
エビのストックを足して、
セロリの葉とシイタケのいしづきを入れて、40分煮る。ちょっと長い気がするがレシピ通りで。
今日の具材。昨日よりニンジンが多くトマトが少ない。
40分煮出したスープ。スパイスと野菜クズを漉したもの。ものすごく濃厚な味w。当たり前だわな。
この濃厚スープで具材を煮るのである。ここでスパイスはサフランだけを入れる。
Gomyoのイベントのときタイのブイヤベースを作るのに自費で購入したもの。家でちょびちょびと使いつつ、まだこれだけある。
ひとつまみ入れる。
ニンジンが煮えたらOKなのでここからは早い。
ミキサーにかける。
鍋に戻して塩とレッドペッパーで調味。塩は伊豆大島で作っている「海の精」を使う。この塩はお高いので振り塩などには「赤穂の天塩」を使い、仕上げのときだけこちらを使うのだ。
さて・・・
今日のはさすがにエビが香る。ちょっとミキサーが甘かったのでセロリとニンジンが舌にざらつくが、しかし凄い味である。「えびと魚のストックで作ったスープはスープの王様である」と丸元淑生は書いているけれど、いや私は高価なスープをそれほど飲んだ経験はないけれど、その言葉に深く深くうなずかずにおれない。
サフランの黄色が美しい。また、サフランは魚介の臭みをいい匂いに昇華させる不思議な力を持っている。しかし、カルダモンやコリアンダーはかすかにも匂わない。これまで魚のスープは「ワカメの味噌汁」というワンパターンで使ってきたけれど、次回にまたスープで使ってみたくなる! という素晴らしい味。
『スープブッック』には「魚のストック」を使うレシピとして、
・にんじんとねぎのスープ
・キドニービーンズのスープ
・海の幸のスープ(今回作ったもの)
・レッド・レンティル・スープ
・キャベツとじゃがいものスープ
・レッドレンティルとじゃがいものスープ
・冬瓜としいたけのスープ
という7種のスープが掲載されている。他にも単体で出汁の出る素材、たとえば牡蠣やホタテ貝などのスープもあり、後半は野菜やキノコのストック、あるいは水だけを使ったスープが掲載されていて、この一冊だけでも大変な労作ということができる。
丸元淑生は一連の料理書の中で、魚を丸ごと買って刺身や干物、蒸し煮などを作り、食べれない部分(頭・骨・ひれなど)を煮出したストックでスープを連動させる・・・という新しいシステムを提示してみせた。
このシステムで重要な位置を占めるのは最も栄養豊富な頭なので、頭がストックに使えない鮮度の魚は買わないようにしなくてはならない。というと厳しすぎるようだが、現実には魚屋には頭がストックに使える鮮度の魚が並んでおり、それを使わずに捨てて貴重な資源を無駄にしているのは非常におかしいと私は思う。(同書)
考えてみればこれは海産物に恵まれた日本にきわめて相応しいやり方で、なぜ今まで誰も考えつかなかったのか? と不思議に思うくらいだ。いや、一昔前なら難しかったかもしれないが、今や普通のスーパーでも鮮度のよい地魚やマニアックなスパイスが売られているのだ。
ところで家庭菜園を持つ者にとって、野菜をスープに使えることは嬉しいことだし、無農薬だからこそ安心してスープの素材にできる喜びもある。また、魚介スープの出汁ガラは、いい堆肥の材料になるのである。
というわけで全4冊の料理ブックのうちこの本は買わなくてもいいかな? なんて思っていたらとんでもなかった(笑)。これは、魚のストックがとれる境遇になって初めて解ることなのだが・・・。
また愉しみが増えてしまったではないかw。