讃岐の三杯、地レモンを絞るとき


昨日作ったアジの三杯酢、仕事の合間に冷蔵庫から取り出して試食すると、味が染みてすごく美味い! しかもこのサイズでも頭も骨も食べられる。調べてみると、小魚を素焼きして三杯酢に浸けるのは「三杯」と呼ばれる讃岐の郷土料理なんですね。

「讃岐味の歳時記」というHPに、

伝承されてきた背景/夏祭りの酒客の肴(さかな)は、大抵魚の三杯。小魚を骨まで食べ、保存性を持たす工夫がされた料理です。あじやままかり、きすご、たなご、ねばこちを焼いて三杯酢に浸します。

あじは、夏から秋にかけて瀬戸内海に入り込んでくる回遊魚。秋には15cmほどの小あじが旬になります。焼きたてをしょうがじょうゆで食べるのもいいですが、三杯があっさりとしておいしいです。

主な伝承地域/香川県全域

とある。

高松のアーケード街の魚屋で、総菜としてこの三杯を売っているのをよく見掛けたし、いつぞやはカラオケスナックで小鯛の三杯が出たときがあって、これまた骨まで食べれて美味しかった記憶がある。

魚のサイズが小さい方が骨の口当たりがやわらかく、この場合は内臓を抜かずにそそまま焼くのでさらに複雑な旨味が味わえる。以前、M君の定置網漁を取材したとき豆アジを貰ってきて炭で焼いて作ったことがあるが(こちら)、その場ですぐ食べてしまった。とにかく美味なものであった。

HPには薬味に「唐辛子、しょうが、みょうが、すだち、青しそなど季節のもの」とある。ちょうどこの季節のフレッシュな薬味が添えられるところも良いね。さっそく赤唐辛子を放り込んでおいた。

昼はアジの茶漬けでいく。炊きたての3分づき米に熱々の番茶。

生臭みはまったくない。ゴマと味噌の風味が食欲をそそる。何杯でも食べれそうだ。おかわりはもみ海苔とワサビを添えて。

もう一品、買っておいた地レモンを絞って、アボカドとトマトとタマネギのサラダを作った。最近、土井先生の料理本で知ったのだが、絞り器で絞る前に、レモンをまな板の上で手のひらを使ってやわらかくなるまでよくもみほぐすといいのだそうだ。そのまま絞ると渋みや苦みが出てしまうが、この一手間で格段に違う果汁の美味しさを引き出せる、と。

やってみると確かにその通り! このサラダの美味しかったコト! あまりに美味しくて台所で立ったまま半分くらい食べてしまった(笑)。しかし、まだ知らない料理の基本があるもんだな。輸入レモンは外皮のポストハーベストの薬害がちょっと気持ち悪いけど、地レモンならまな板でごりごりしても平気だ♬

夜はさらに味が染みて、頭から抵抗無く食べれる3杯。日本酒にももちろん合う。讃岐は昔から和の調味料に恵まれたところである。塩と醤油の産地であり、酢については高松の仏生山と三豊の仁尾に江戸時代から続く醸造蔵がある(私は前者の「吉野酢」を愛用している)。というわけで三杯の素地があったのだろう。

すでに汁にとろみがついてきた。砂糖を使っていないのでこの汁もくどくなく、そのまま飲める。日数経過の保存の味の変化を知りたいが、明日には全部なくなりそうだw。


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