しめ鯖、アンチョビ作り、豆あじの三杯酢


昨日はアジを中心に様々な魚をいただいたのだが、中にいいサイズのサバがあった。定置網の最初の網に入っていたもので、M君が「しめ鯖にするかい?」と瞬時に首を折って〆てくれたものだ。サバは足が速いので夜のうちにさばいて塩と酢でしめ鯖を仕込んでおいた。

その日にも食べれるが、酢で拭いた昆布を当てておくと旨味が増し、冷蔵庫で2〜3日は保存できる。N先生はしめ鯖を作ったことがないというので、出来上がった半身を分けてあげた。ぜひとも本物のしめ鯖を味わってほしいからである。

昆布をめくると宝石のような輝きのサバの身が現れる。それを柳刃包丁で引く。中央にひとつ切れ目を入れるといい。

鮮度のいいサバは浅く締める。酢に漬ける時間は20分。市販のしめ鯖の身が真っ白なのは、酢締めの時間が長過ぎるからだ。この刺身に近いしめ鯖は高級寿司屋か自家製でしか味わえない。またアニキサスを避けるためにも自家製が安心である。

きゅうりとしょうがの千切りを添える。しめ鯖はワサビもいいが、切り身の切れ目にしょうがをちょいと挟んで醤油をつけて食べても旨い。

酒は純米吟醸で。猪口は、今日は切り子ガラスの気分だな♬

おかわり。・・・・むふぅ、たまらぬ旨さである。この濃厚な味わいはサバならではのものだ。

昨年作った「ひしお」を取り出してきゅうりにつけながら食べる。これもまた、酒に合う。

アジとカタクチイワシも少しもらってきた。

カタクチイワシはいわゆる「いりこ」にするイワシだが、かねがね私はアンチョビを仕込んでみたいと思っていたのだ。この日のためにこの荷ひもを捨てないでおいたのだ、ウッシッシ♬

ほれこの通り。ものすごく簡単に早くさばける。頭を押さえて、頭と背中の付け根から引くのがポイント。

全部で17匹。つまり34枚のアンチョビができる。しかし、市販のアンチョビって高いよね。

密封容器に塩を敷いて身を並べていく。その上にまた塩・・・と繰り返す。

最後の層は皮目を上に。

上からも塩をしてフタ。夏なので冷蔵庫で熟成させる。一ヶ月ほどで取り出してビン詰めに変えてオリーブオイルに沈めればできあがり。副産物として魚醬ができる。

豆アジのほうは、M君から教わった方法を試してみた。豆アジはとくに徳島の市場で好まれ、その調理法は「七輪で焼いて三杯酢に漬ける」んだそうだ。で、七輪は持っていないので、箱火鉢をこんなふうにセットして燠炭を焚いてみた(笑)。これなら換気扇で煙が抜けるからね。

サイズは5~6cmといったところかな。M君いわく、これ以上大きくなると骨などが口にさわるという。

上下をこんがり焼いて三杯酢のかわりにポン酢で。

ナルホド、こりゃ美味いわ!

おかわりなのだ。アジじゃない魚も2尾混じってますがw。

この香ばしさ、複雑な旨味と苦み、頭も内臓も骨も食べるからなわけなのだが、豆アジにはほんのりあぶらがあって実に美味い。

まだあるのだw。

つまり、昨日の仕分けの最後に「そこに残っているの全部持っていっていいよ」と言われてさらってきたわけで(笑)、こんな魚も入っていた。上は不明だが、下はマダイの子と思われ。

こちらはワタとエラを抜いてから焼くことにしました。

しっかり焼き目をつけてからやはりポン酢で。

さすがに骨ごととはいかないが、軟骨くらいはイケル。しかし、カルシウムやムコ多糖類たっぷりの健康つまみであることは間違いあるまい。瀬戸内地方の沿岸ではこのような雑魚がぶつ切りで味噌汁に、そして炭火焼きで三杯酢になり、食卓に健全さをもたらしていたことだろう。

炭火の原料は裏山にあり、味噌は大豆を栽培して手作りすることができる。そして残滓はまた土や海に還る。なんて美しい生き方なんだろう。

一方で現代人は、地球を汚しながら化学物質だらけのジャンキーな食べ物を毎日のように食べている。材料費よりもパッケージのプリント代や宣伝費のほうが高いようなシロモノを・・・。そうしてゴミがまた空や海を汚染していく。

海辺で七輪を焚いて、孫に小魚を食わせる爺さんになりなさい。by タマリン


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