今回の九州豪雨、所によっては500ミリ以上の雨が降っている。これはヨーロッパ諸国の年間総雨量にも匹敵する。が、この程度の雨は、日本の山間部ならこれまで何度も降っている。50年から100年の間には出くわす雨である。
それより押し流された流木の多さと、とくにその太さが特徴的だ。あの通直さ、皮の剥け方、明らかにスギである。九州は戦後の拡大造林時に植えられたスギ林がたいへん多く(被害の集中した日田はその一大植林地でもあるのだが)そのスギは根の貧弱な挿し木苗から育てられたものだ。
デジタル朝日のニュースから。
流木でせき止められ、氾濫か 九州豪雨、専門家分析
「5年前と同様、至る所で土砂災害が起きている」
茶色に濁った花月川の上流の川をたどると、針葉樹が植林された日田市小野地区のあちこちで大きく山肌が崩れていた。「表層の土が滑り、沢に沿うように一気に土砂やスギの木が流れ出たようだ」
「土砂だけでは家が壊れなかったかもしれないが、流木は相当なエネルギーを持っている」
「流木が橋にひっかかって水が通りにくくなり、氾濫してさらに流木が増える悪循環が起きたのではないか」
避難者「何もない。跡形もない」 九州豪雨、救助続く
周辺では、山からの土砂が屋根の上まで覆った住宅があり、根こそぎ流されてきた大木がいくつも倒れている。
小学校の向かい側の斜面は横幅数十メートルにわたって崩れ、山肌が見えた。
押しつぶされた車、大量の流木… 豪雨被災地、上空ルポ
橋脚や住宅に押し寄せる大量の倒木。杷木地区の支流を北へさかのぼると、その出どころに行き当たった。山のあちこちで起きた土砂崩れで木々がなぎ倒され、谷筋伝いに支流まで流れ落ちていた。
水害はただ水が増えただけならそんなに被害は出ないものです。山が崩れるとき、命をおびやかす大きな災害になる。
その災害の痕は、やがてコンクリート工事で覆われることになる。こうして日本の大切な山の自然がまた消滅する。
林業は50年100年と続く仕事です。大きく間伐し、林内に根の深い広葉樹の中層木を育て、災害に強い混交林で育てていくべきです。それが「自然が教える新しい林業の姿」です。そして川の最源流の奥山は、広葉樹を主にした実生の森に変えていかねばなりません。
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、一刻も早い救助と復興を願っています。