鮎川


朝、カマを手に畑をぶらぶら見回りながら、野菜の成長に一喜一憂しつつ、食べる分だけ収穫する。この時間がなかなかイイ。なんて、だんだん畑オタクになってきました。梅の実がまだわずかに木に残っているのを梯子で収穫。カボチャは種をじか植えで移植しなかったものだけが大きくなっており、実を結んでいる。でも、ほかのカボチャもじわじわ大きく育っているのだ。後半が楽しみなのだった(前半に大きく育った他の人のカボチャは、イノシシ(?)にやられてしまったものが多い)。

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朝食はチーズを入りマッシュポテトのバター焼き。コロッケの衣抜き、という感じのものだ。それにワカメとキュウリの酢の物。前日の残り物などもいっしょに食べてお腹いっぱい。その後、ナスとキュウリを漬け物にした。重しは敷地に転がっている自然石。とはいえ伊勢神宮の内宮の石段にも使われている鬼石町の誇る天下の名庭石「三波石」の重しである。さぞかし美味しい漬け物が♪ 青シソが大漁。これはニンニクとダイコンと醤油、それにトウガラシ粉をサンドイッチにして重しをしてやはり漬け物に。炊きたてご飯にこれを焼き海苔のようにくるんで食べる予定だ。

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午後はスーパー林道を上流に向かってドライブ。ここは定期的に見回って、植物の変化を見ておきたいのだ。塩沢峠から南に降り、鮎川沿いに藤岡へ向かう。この峠から甘楽に向かったことはあったが藤岡へは初めて。鮎川源流の水量が豊富で渓相が意外にいいのに驚いた。ここなら釣れなくてもフライを振って遡るだけでも楽しそうである。

僕が釣りに興味を失い始めたのは、学生時代に東北の高原や山岳渓流でいい釣りをしてしまった追憶と、現在の「釣り堀」と化した荒廃渓流とのギャップが大きい。この流域でも間伐遅れの人工林が蔓延しているのを見た。日本の湿潤温暖な四季の頂点ともいえる季節に、いま草一本生えていない森がたくさんあるのだ。それは草刈りや除草剤をまいたからじゃない。自然林を人工林に変えて、その手入れを放棄したために、林床に光が差さない森が生まれてしまったからだ。上空から鳥の目で眺めればたしかに緑の森なのだが、その中に入れば中は石が浮いていて、木の根っこがむき出しになっている。これを僕は「緑の砂漠」と呼ぶ。

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日本にも砂漠があるのである。それは鳥取砂丘のことではない。意外にも貴方の住むすぐ近所にある。それは水源を涸らせ、土砂を河川に流し、山の崩壊の危険を帯びて、いま貴方の暮らしを間接的に脅かしているのだ。花粉症の猛威と集中豪雨の被害にマスコミは踊るけど、その根本原因には迫らない。そして、国民のほとんどは、この荒廃山林の実態と原理を知らない。人は「森が危険な状態になっているらしい」「だから森を大事にしなきゃ」「広葉樹を植えよう!」などと思っている。

「3000万本の木を植えた男」、横浜国大の宮脇昭氏がずいぶんメジャーに知られてきたようである。しかし日本の人工林を救う「上手く伐る」という技術と実績に、なぜ気づかないのだろうか? 日本の人工林面積は1000万ヘクタール、1ヘクタール当たり3000本植栽(これ以上の密植もある)として、3000本×1000万へクタール=300億本(!)の木の森を救うというこの大仕事に、なぜ光が当たらないのか? それに迫らない日本人も、日本のマスコミも、気が狂っていると思う。

相方はフライフィッシングに興味があるみたいだ。いい森といい川で天然の魚が釣れるなら、僕はきっとまた釣りにのめり込むことだろう。コンパクトカーにバンブーのパックロッドを忍ばせて、釣れたヤマメを夕餉にのせるのもいい。そうだ、囲炉裏ができたらぜひそれをやってみよう。でもいまタックルは一組しかない。新調するならミヤザキロッドかな? お金ためなきゃ、ね♪


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