朝、Y先生の畑に枝豆とインゲンを収穫にいく。「ウチじゃ食べきれないから取りに行くように」と何度も言われていたのである。以前、植え付けの手伝いをしたジャガイモのスペースは収穫されて裸地になっている。ことごとく草が抜かれ土だけになっている。アトリエの畑とはえらいちがいだし、これをスタンダードとするY先生から見れば自然農など「単なる手抜き」としか写るまい。なにしろ僕らの野菜は、雑草の中に埋もれているのだ。
もっとも、雑草と共存し、無肥料で行く「自然農」という概念を、先生は知らないと思う。10月号の『現代農業』は特集号で僕の連載はお休みなのだけど、「無肥料栽培」についての記事が掲載される予定という。編集部からは内容に「コメントいただければ幸いです」という話をいただいた。
オクラとトマトを収穫。イタリアントマトはスパゲティに使った。丸いトマトは山水で冷やして塩で食べた。「うん、これで(自然農で)じゅうぶんだよ!」「うんうん、この旨さを覚えておこうね!」と僕らはその味を感嘆しながら味わった。
しかし、スパゲティに使おうと摘んだバジルが不味い。苦味があり、青臭いのである。苗で買ったナス(2本)、ピーマン(2)、ズッキーニ(1)が全滅。キャベツも虫だらけで全然育たない。レタスも大きく育たない。と、いろいろ不作もある。
「野菜はその土の味を反映する」というのは本当なのではないかと思える。鶏糞と除草剤を使った畑の野菜は、やはり「糞と薬品」のかすかな味を感じるのは、当たり前のことだと思う。僕らはアトリエの守り神であるカシ、敷地の柿の大樹他の葉っぱと、スギ・ヒノキ間伐材を中心にした木灰という、植物由来のもので土づくりを進めたい。清らかで爽やかな香り、深い味わい。収穫は少なくとも、それだけでよい。
野菜いっぱい(トマト、タマネギ、ナス、インゲン)のスパゲッティができた。化学調味料の入ったコンソメ・キューブなど使わずとも、塩コショウだけ、野菜の甘味だけで、美味しいソースができる。これも薪火と山水の2大力が大きいはず。ありがたい。では、いただきます!