朝、NHKの朝ドラマ「ファイト」を見てからもぞもぞと起き出す。このドラマ、群馬がロケ地になっており、主人公の優の家は高崎にあるのだ。この退廃爛熟した末期的なテレビ文化の中で、ストレートの直球をズドンと投げてくる清々しいストーリーが良い。重要なキャストである児玉清さんは戦時中の疎開で四万温泉にお世話になったそうで、由紀さおりさんは桐生の生まれとか。
午前中は日記を書いたりして時間が過ぎてしまう。前日仕込んだヒヨコ豆のカレーと畑のダイコンのしらすおろしを食べて、昼からコペンの車庫づくりにかかる。
土屋屋根にして草を生やすのも面白いなと思ったが、そうなるとその重量を受ける構造を考えねばならないし、防水シートなどを購入しなければならないので却下。
廃材角材2本を、番線しばりでまとめたものを柱に使い、前のパイプ支柱の跡のでっぱりをうまく利用して、自立できるところから立てていく。基礎の跡と岩があって掘立てができない。基礎跡のコンクリートはタガネで削って柱が載るようにする。梁も廃材角材を使う。この角は南洋材に樹脂処理してあるものなので、水濡れ虫食いの心配がなく、反力も申し分ない。
しかし暑い。オニヤンマが旋回してくる。明らかに僕らの存在と新たに立った柱が気になる様子だった。宝石のような昆虫たちと、鳥の声、せせらぎの音に作業中はずいぶん癒される。
「棟梁がいいから、立派なもんができるね」。途中、Y先生が冷やかしにやってくる。飲みのもや野菜のお土産までいただいてしまった。Y先生の物置きはイタルさんが造ったもので、材は自分の山の間伐材だそうだ。山暮らし現役の人は産物をムダにしない。イタルさんの造りものは質素だが、迫力があるのだった。
水準器を使いながら柱や梁を配置していき、番線で締め上げ、チェーンソーで余分を切ったりしてなんとか棟上げ成功。明日はトタン屋根を葺く。夕食は乾麺の残り3種を片付ける。
夜はキシタバがやってきた。通称「カトカラ」と呼ばれる蛾の仲間だ。この一群はムラサキ、シロ、ベニなど後ばねに美しい色彩紋様を持ち、属名Catocalaはそれに由来する。以前、雑誌のイラスト仕事でベニシタバを描いたことがある(こちら)。ちなみにキシタバの幼虫の食樹はフジである。