ちびカマ君を毎日使っていると灰がたまるので、朝それをかき出して袋にためておくのだが、ある程度たまったところで野菜たちに灰をまきにいく。有機農法を自称する人も鶏糞や米ぬかは使うけど、灰だけはなかなか使えない。ホームセンターに行けば売ってはいるけれど、鶏糞などよりずっと値段が高いからだ。
この傾斜地の石だらけの畑で、無農薬、化学肥料なしで、かなりの野菜を収穫できるのは、この「灰」のおかげも大きいと思う。この灰の中には小さなオキ炭や粘土の小塊などが混じっていたりする。お隣の農業の達人イタルさんも「木灰はどんな野菜にもいい」と言っている。経験的に灰の高い効果を知っているようだった。
庭に朝飯用の薪を取りにいくと地面に大きなチョウの影が動いた。見上げるとアサギマダラだった。
軽トラに乗って町まで下り、廃材角材を取りに行った。これを手配してくれるいつものIさんには採りたてのミョウガを持っていった。
すぐにアトリエに戻る。あまりに天気がよくて気持ちいいので、お出かけだぁっ。まずは下仁田「きよしや食堂」で腹ごしらえ。僕も相方もここは大のお気に入りである。僕はラーメン定食。相方は特製きよしやラーメン。先日、某チェーン店のラーメンと餃子を食べてがっかりしてしまった。餃子を一口含んだ段階で「こりゃダメだ」と思った。やる気がない感じが味から伝わってくる。スープは化学調味料ドバドバ味だし、麺も凡庸。食べ物に「気合い」が入っていないのだ。
きよしや食堂のラーメンは、ラーメンマニアには物足らないかもしれないが、なんとも誠実で温かで、確かな食べ物の味がする。柚子のひとかけが入っているのも良かった。
ここはカツ丼が売りの店だ。で、ラーメン定食には煮カツとご飯が、特製ラーメンにもカツが入っている。僕も相方もぺろりと完食。まっとうなスープの味が良かった。
その後は妙義山をまわった。紅葉はまだだったが、この山の景色は本当に日本離れしている。紅葉のピーク11月の上旬にトレッキングしてみたい。磯辺温泉「恵みの湯」につかった。ここの湯質は濃いなぁ。周りの景観はいまいちだが・・・。
修理に出してしたプリンター複合機が直って、ヤマダ電気で回収して帰還。出発前、アトリエに通りかかったイタルさんが「今日はいい日だいのぉ」と言っていたが、僕にもいいことがあった。環境活動家の枝廣淳子さんのメールニュースが鋸谷さんの間伐講義録を紹介してくれたのだ(こちら)。
枝廣さんはNHKの「地球大好き」でコメンテータをしたり、愛・地球博市民パピリオンでも講演したりしている。そのニュースレターは約7300人に配信しているという。友人経由で枝廣さんが鋸谷さんの森づくりに興味を持たれていることを知り、鋸谷さんに直接電話でお話し、メールニュースへの転載を了解したのだった。
あの講義録は、当時ぼく一人で録音したり文章起こしをやったもので、そのあと鋸谷さんに目を通してしただきアップしたものだ。どこからも一銭の金も貰うことなく、孤独で大変な作業だったのを思い出す。
この講義の中、とくに松枯れと中層の広葉樹の関係は、いままで日本の林学者が誰一人言うことがなかった重要な見解であると思う。僕はこの講義を聴きながら背骨が震えるような感動を受けたことを、今も生々しく思い出すのである。
この講義録はとある編集者の心をも動かした。そのGさんのお骨折りで『図解 これならできる山づくり』ができた。枝廣さんのニュースレターはきっと新たな風を起こすことだろう。楽しみである。