昨年収穫したジャガイモがまだ縁の下にストックがある。もう芽がモヤシのように飛び出して、皮の部分はふにゃふにゃしている。その皮を剥いて、グレイダーでおろして、ついでにチーズも同じにおろして、二つを混ぜて小麦粉を振りかける。それを油をひいたフライパンで平たく焼く。ひっくり返して塩コショウして両面に焼き色がついて、カリカリとして美味しいハッシュドポテトの出来上がり。これは新ジャガなどよりも、時のたった水分の抜けたひねジャガのほうが美味しいようだ。「う、ウマイ!」と感嘆しつつ4枚も一気に食べてしまった。
畑で草を刈っていると、ギンイチモンジセセリが飛んでいる。「むかしチョウを採っていたことがある」などと講演でもスライドをみせたりしている僕だが、実はこのチョウを採ったことがない。初めて見たのであった。環境省の「準絶滅危惧種」となっているチョウである。草原の減少で珍蝶になりつつあるのだ。
でも、食草のススキなんてどこにでもあるんだから、草原の減少だけが原因ではないと思う。自然の中には、僕らのうかがい知れない何かがあるのだ。地味な蛾みたいなチョウなんだけど、後ろ羽の一文字はなかなかいいデザインだと思う。写真が撮れた。いやー、嬉しかった。
昼、Y先生が畑の帰りに立ち寄られ、新聞のコピーをお願いされた。先生にウドを差し上げた。夕刻、藤岡のIさんがステンレスの風呂桶を持ってきてくれた。相方が織物用のカラムシを浸すのに水槽が欲しいと言っていたのを覚えてくれ、廃品を加工して背負子で持ち上げて来てくださった。感謝。これまたウドを1本切って、白いところを味噌で食べてもらった。囲炉裏でひとしきり話をして、Iさんが暗い中を帰っていく。