寒い曇りの日。僕は囲炉裏部屋で曲づくり。相方は和室で表装の仕事。今回の高崎個展のための仕事である。新作紙芝居『神流川なつかし物語』を披露する予定なのだが、そのエンディングテーマを作っている。紙芝居ライブを始めてからこれまで4曲作ったが、5曲目の今回は、ボサノバの曲でキーはなんとE♭。だからギターの指運はすべてハイ・コードで動いていく。まあ、この日のためにボサノバのコードを徹底練習してきたようなものだ。
僕の曲づくりはメロディと詩が同時進行していく。もやもやと詩のイメージが湧いてくると、それを頭の片隅に置いておく。メロディは不意に生まれることがあるので小型カセットレコーダー( アナログですなぁ)を常に携帯している。
しかし、結局は「個展&ライブ」という締め切りに追いつめられて、ギリギリの緊張感から音と言葉が生まれてくる。それをギターのコードで繋いでいく。コード進行を先行させて、それに旋律をあてはめていくこともある。
そして、最後の最後まで、仕上がりがくるくると変転していくのだ。言葉尻と、音との雰囲気を合わせつつ、全体に調和のとれた完成にもっていくのは、悶々とのたうち回るような苦しみがある。言葉と音の組み合わせは不思議であり、神秘的である。たった一つの言葉の失敗が、曲を台無しにしてしまうこともあり、ふいに思いついたさりげない処理が、曲を一気に完成に持ち込むこともある。その過程は苦しいが、面白いといえば面白い。
あーだのこーだのしているうちに、結局、ジャズの常套フレーズの2・5進行を連続させながら、テンション・コードとリズムの変化で色合いをつけていく形になっていく。曲はできた。できたけれど、これから相方に聴いてもらい、実際に歌ってもらって、そこからデュオのハーモニーの振り分けをして仕上げる、という作業が待ち構えているのだ。これがまた大変なのである・・・。