高知の林道取材に向かう前にどうしても立ち寄りたい場所があった。愛媛県新居浜市別子にある住友林業の社有林である。昨年の旅では時間がなくて見れなかったヒノキの天然林や長伐期施業の見本林を見ておきたい。でも行く前に食べておきたい讃岐うどん。お目当ての地元密着型老舗は休み。そこでカーナビでセルフの店をみつけて、イカ天付きぶっかけと普通のきつね。これでしめて520円♪
さて住友林業の山。別子のあたりは海からひと山という感じなのだが、その谷はなかなか深い。それもそのはず、もうひと山越えれば高知の大川村という位置なのだ。別子銅山の開発が住友財閥発展のきっかけとなったというが、銅山で荒廃した森林の再生を、住友はいち早く始めた。そして林業から木造住宅までの事業を成功させた。「フォレスターハウス」はそんな住友林業の沿革と人工林施業の様々な取り組みを一覧できる展示がしてある。ここに僕の描いたイラストが使われている。
館内をじっくり観たあと、ヒノキ天然林とシャクナゲ原生林のある遊歩道を歩いた。ここに在住して林業作業をみておられるYさんにいろいろお話を聞いた。100年生に近いヒノキ人工林のデータは、おそらく日本で伊勢神宮とここしかないのではなかろうか。そのヒノキ林の林床は、厚く豊かな表土で覆われてる。
松山へ入り道後温泉に入る。夏目漱石の『坊っちゃん』発表100周年とかで、お団子がサービスで出た。建物は3階建ての木造で湯船は庵治石(黒花崗岩)が使われている。内部もすばらしい。接客もよかった。すべてが本物なのである。ここは路面電車が走っている街で、それでホテルから駅前へ行き、アーケードや飲み屋街を巡ってみた。建物の足下がすっきりしていて、看板が美しく感じる景観がよかった。