高知県四万十町(旧大正町、H18年合併改変)へ林道取材へ出発。主役の田辺さんとは3年ぶりの再会となる。鋸谷さんと同じく、この田辺さんの林道づくりはなんとしても世に大きく登場させるべきであり、連載後は単行本化を目指すわけだが、内容が「林道」だけに読者が限られるという懸念もある。しかし環境親和型の林道は、木の売り買いや森の管理しやすさだけの問題ではない。
1)林道づくりを考えることで、西洋由来の土木技術(自然をねじ伏せ、コンクリートで固めてしまう)を根本から考え直すきっかけにもなる。それは日本古来の土木技術を見直すことにもつながる。そして日本の山の特質が見えてくる。
2)山林で使う道具やエンジン機器、軽自動車や林業作業機械まで含め、これらの改良の余地がたくさん残されている、ということが見えてくる。それを解き明かすことにも大きな意義がある。
3)高密度作業道をつくることで頻繁に山を行き来するとき、環境親和型でありながら鋸谷式とはやや異なる新しい林業のセオリー(技術・管理手法)が生まれるのではないだろうか。鋸谷式間伐は、どちらかと言えば林道がなくてもできる荒廃林を最短距離でローコストで最良の山に持って行く手法であった。一度間伐すれば10年は放置できる、という伐り方だ。しかし、作業道があるなら、同じ環境親和型林業とはいえ、管理の仕方は当然変わってもよいのである。
林道というと、環境保護論者には環境破壊の代名詞のように聞こえるものだが、この「森を良くする田辺林道」をするとき、目からウロコが落ちる人がたくさん現れるだろう。
午前中に出発。途中、高崎でキャンプ用のマット、キャンドル・ランタン用のロウソクなどを購入。前回の山梨旅では車中(コペン)泊は少々キツかったので、今回はテント持参である。本州での泊まりでは空き地に止めたコペンの隣にテントを張ってしまうつもりなのだ。今回は途中、中山道の木曽路を眺めて行く予定である。
松井田から高速に乗り、佐久で降りて中山道で諏訪へ。長野には登山などで昔から頻繁に通っているが、諏訪はいつも通過するだけ。というわけで今回は諏訪神社を見る。それにしても諏訪湖の水の汚いのにはびっくりした。諏訪神社の近くの共同浴場温泉に入った。220円と安い。
諏訪は古代からの一大聖地であることはまちがいない。しかしいま、この自然のエネルギーはねじ伏せられ、台無しにされているように思える。わずかに温泉だけがその名残をとどめている。
キャンプするとはいえ、近頃のキャンプ場は場所代がやたらと高いうえ、他のお客が騒がしい。直火が使えない所が多い。そこで諏訪湖畔の小さな公園の駐車場にコペンを止め、その脇に目立たぬようにテントを張って休んだ。近くには道も民家もあるのだが、こっそりとやればどうということはないのだ。騒ぐわけでもなくゴミを置いていくわけでもないのだから。
これで宿泊費を浮かした分、近所の店で焼き肉を食べて、風呂上がりの生ビールを楽しんだ。焼肉屋は温泉の待ち合いに置いてあった信州のガイドブックでアタリをつけておいた店だ。国産牛専門の旨い肉を出す小ぎれいな店で、繁盛していた。その佇まいと客層に、諏訪という場所の「古さ」を感じさせられた。
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