石臼挽き・全粒粉・燠火焼きパン


さて、歩留まり85パーセントの全粒粉。それに市販の強力粉を半々の割合で、塩と水だけで練っておいたウドン玉のモトの残り。これを中一日冷蔵保存しておいたものを、手で平たく伸して直火(燠)で焼いてみた。

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これが「おおおつ!」と思わず声が出るほど旨い。ふくよかな香り、甘くコクがある味。そしてちょっとふんわりしてかすかに自家発酵した形跡があるのだった(焼いているうちにプク~っと膨らんでくる)。結局、残りはみんな焼いて食べてしまった。

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小麦は精白の過程で胚芽やフスマが捨てられてしまう。かといって、すべてを混ぜ込んだ全粒粉に挽いてしまうとぼそぼそと食感が悪い。実際85パーセントくらいがちょうど良いのかもしれない。が、これを流通すれば保存の過程で味が変わってしまうのだろう。胚芽やフスマには油分など酸化で変質しやすい要素が多いからだ。

これを味わえるのは、原麦を自家製粉できる者の特権ということか・・・。しかしこの辺の昔の人は、みんなそうやって(石臼で挽いて)食べていたのだ(ただし、市販の精白小麦を半分混ぜるというこことはできなかった)。

この食べ方をカタカナにすれば「チャパティ」だけど、これに漬け物の刻んだのや味噌やクルミなどを混ぜ込んで、ほうろく(鉄製のフライパンのようなもの)で焼いて、囲炉裏の灰に埋めてさらにふんわり焼いて、この辺の人は食べていたらしい。食物繊維やビタミン・ミネラル豊富な、実に健康的な食べ物だ。

今、この集落で麦を作る人は一人もいない。この味はみな知っているのだが、栽培から収穫から保存、粉挽きに至るまで、手間がかかりすぎるからである。なにしろスーパーに行けば、すでに焼いてあるフワフワの真っ白いパンが100円で買えるのだ。そのパンの原料はポストハーベストたっぷりの輸入小麦で、添加物がたんまりと入れてあり、白砂糖も使われており・・・・・

やめておこう。僕らもそれをときたま買って食べたりしてるんだから。しかし、この「石臼挽き・全粒粉・燠火焼きパン」は、学校給食で子供たちにぜひ食べさせてやりたい味であると思った。

 


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