上毛新聞1/3日付けの1面、注目記事。
「藤岡市、環境保全へ私有林整備」
「広葉樹に植生転換『市民の森』づくり推進」
日野地区というと、我がアトリエの裏側の山にあたる。85haを樹種転換するために、まず始めに5~6割の強度間伐を施すという。市内には稼働を始めたばかりの「県産材センター」があり、間伐材は伐り捨てではなくここへ運ばれるようだ。
安易な広葉樹植林には反対だが、人工林の広範囲な強度間伐の事例ができるのは注目に値する。「山が動いた・・・」というべきか。
ところで、昨年の長野県での土石流被害はやはり人工林の荒廃が決定的だったようだ。ある森林学者のブログによれば、田中知事落選もここを巧妙に利用され土建推進側にしてやられたらしい。地元紙等は相変わらず荒廃林と災害との因果関係を黙殺しているという。
このブログの中で地元のおばあさんの言葉が「山が荒れててね。マツはコナラになんか比べて崩れやすいでしょ」と書かれているが、マツとは人工林カラマツのことだと思われる。ふつうマツと書くと天然林アカマツを意味するが、これは深根性で崩壊には強い。誤解なきように。人工林は挿し木苗を使うので同じ樹種でも天然の実生種に比べて根が浅い。荒廃人工林を環境林に誘導するには強度間伐で他の樹種を混入させる(日本の場合は自然に生えてくる)のが一番いい。
と、これはもう僕のHPでは2000年の開設のときから、喉がカラカラになるくらい叫び続けているよね。
天野礼子氏の新著『“林業再生”最後の挑戦「新生産システム」で未来を拓く』農文協(2006/11)をざっと読んでみた。ここに来てようやく官学系の学者や有名ジャーナリストらが人工林問題に触れ始めるようになったのはいいことだ。が、それにしても相変わらず「鋸谷式間伐」は黙殺なんですかね? 同じ出版社から間伐技術の最も重要な技術書がすでに7刷も出ているというのに(鋸谷さんとの共著のコト)、天野著は「これまで人工林の間伐が重要だということを誰も言わなかったのでこれから私が言う」なんてことが書かれている。
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