今日は1日じゅうDIYと料理の日。朝から鰹節を削ろうと思い、そのために鉋(かんな)の刃を研ごうと思う。が、以前つくった砥石台がどうも使いにくい。そこでもういちど研ぎ台を作り直すことから始める。
スギの間伐材を割っておいた薪の中から大きめのサイズのを選び出し、ヨキで割って、はつって、砥石が乗るようにノミで窪みを彫る。これが外の流し台の上にちょうどハマるように溝をきって、出来上がり。なんのことはない、やっぱり昔からある形が一番使いやすいのであった。
中砥で刃の裏にバリが出るまで研ぎ、仕上げ砥で最後を研ぎ上げる。鉋台に刃を再び入れ込む。削れるか削れないかのギリギリまで刃を引っ込めるのがコツ。鰹節削り器を買って、初めて使う人のほとんどが刃を出しすぎる。そして刃を傷め、研ぎがうまくいかないまま、削り器はお蔵入りとなり、鰹節を使うのを止めてしまう。
ギリギリまで刃を引っ込める。そして鰹節の動かしながら当てているうちに、削れる角度がわかってくる。その位置がわかると、鰹節が薄くよく削れる。本当は、鉋台も平らに直さねばならない。そのための専用の鉋が要るのだが、これは平らな下敷きにサンドペーパーを張ってその上に刃を抜いた鉋台をゴシゴシしたり、台から取り出した裸の鉋刃を直角に台に当て、出ばったところを見当つけて削ってもいい。
向こうが透けて見えるくらい薄く削ることができると、いい出汁がとれる。それは削りたてのひとひらを、口に含んでみるとよくわかる。鍋に水と昆布を入れ火にかける。沸騰したところで昆布を引き上げ、削りたての鰹節を投入。それを漉してとった出汁は、昆布と鰹節の旨味が合体した最高の出汁だ。いわゆる料亭や日本料理屋で使われる出汁がコレである。
1番出汁とか2番出汁とか、そんな面倒なことはどうでもよく、とにかく3~5分くらい鰹節を煮て漉しとり、それに酒と醤油を入れて「基本ダシ」をつくる。その濃さは「ゴクンとは飲めるけれど、ゴクンゴクンとは飲めない程度の塩っぱさ」というような文学的表現を、丸元淑生氏はどこかの本でしていたように思う。
この「基本ダシ」は、「おひたし」や、様々な「煮物」に使える。酒と醤油を入れた段階で、はじめ感じた旨味が一気に引いていくような感じがして、不安になる。が、ダマされたと思ってこれでヒジキでも煮てみると、そのすばらしさがよく解る。
市販の幕の内弁当などに入っているヒジキの煮物なんかとは、全く異なるものができる。塩辛さが薄いのだが、味わいがあるのだ。湯で油抜きした油揚げを一緒に煮る。この油揚げがまた「旨い!」ので奪い合いになるため(笑)、今日は大きめにカット。
市販の煮物は、ギャっと言うほど甘い。砂糖が調味に使われているせいだ。が、基本ダシで煮たものは、ほのかに甘い。そしてたっぷりの量を食べられるところがいい。ああ「ヒジキなんて貧乏臭くてイヤ」なんて言ってる貴方に、ぜひ食べてもらいたいもんですな。
このダシさえあれば、野菜の「煮もの」は決して難しくはない。煮詰まれば味はおのずとピタリと決まる。余った基本ダシはペットボトルに入れて冷蔵しておくと1週間くらい保つ。もちろんこれでウドンやソバを食べてもいいのだ。