打ち合わせで東京へ。泊まりは横浜。回数を重ねていないので町はまだ未知なのだが、ここは古い美しい建物が残っている。深夜、それほど期待せずに入った店で焼うどんとおでんを注文する。そのうどんにコシがあり、本格中華で使う香ばしい油の香り、そして牡蠣油の味がする。おでんは澄み切った本物の出汁。
朝、まだ始動したばかりの中華街を散策し、横浜公園近くの喫茶店で、蝶ネクタイをつけた白髪のマスターがサイフォンでいれるコーヒー。ゆで卵と丸パンのトーストがついて400円。この店、かなりの老舗と見た。が、すぐ両脇に、チェーン店のヴェローチェとスターバックスに挟み撃ちされている。
しかし朝のホテルのロビーで、若い外人2人が、周囲をはばからず大声で、自国語の英語で会話をがなり立てているのには閉口した。
copenを走らせ、みなとみらい21地区をざっと見て、ヨコハマポートサイド地区へ行った。ここの再開発コンセプトは「アート&デザインの街」。エットレ・ソットサスの野外彫刻をみつける。どちらの地区も、まだその途上なのか、周囲は全体に乱雑で暗い感じがする。
1号線で六本木へ。「東京ミッドタウン」と同じく新名所「国立新美術館」へ行ってみる。駐車場がないので近所でコイン駐車。これが30分で400円。モネ展を開催中で入館料が1500円。待ち時間が20分と係員に告げられる。中に入る。黒川記章設計の巨大なガラス建築だが、ここでも中は言わずと知れた平成のジジババ様の渦。
金曜日の昼間というのにこの人の多さはどうだ。その混雑のおよそ90%は60歳以上である。そのジジババの比率はざっとみて男性3女性7。つまり、厚化粧をして着飾ったオババが圧倒的に多いのである。ようやく列が動いてモネの絵の並ぶ館内へ入る。この充満したオババたちの化粧の臭いが、ちょうど高さ的に僕の鼻の位置に来る。そしてジジ様の整髪料に混じって時折酒臭いニオイも漂ってくる。馥郁たるモネの絵の前でなんたる苦行。
3階のレストランは昼のコースが2500円というのに、ババ様たちが列をつくっている。僕らは当然のことながら、こんな高額なカネを払っての食事はゴメンだ。最近、このような場所で、奇妙なカップルをみかけるようになった。おそらく団塊世代のニュー・ババ様と、その息子(2~30代の社会人?)と思われるカップルである。
絵を見終えて、建築と人々をざっと観察して、逃げ出すように駐車場へ戻ると、すでに1時間半を超過していて1600円も取られてしまった。ムダだらけの吹き抜け空間の一部を地下に連動させ、デザイン的にも生きた立体駐車場にして、1~2時間の駐車料金を無料にするようなシステムは考えなかったのだろうか?
東京も横浜も再開発された場所は、金持ちしか楽しめない場所になりつつあるようだ。