今年の春、取材旅行の途中で立ち寄った足助の鍛冶屋さんで買ったトチカンで木を出してみた。倒した木の小口にこのクサビをヨキの背を使って打ち付け、ロープで引いてくるのである。
釣り針のようにカエシがあるわけじゃなし、引っ張れば木の重みで抜けてしまうように思えるが、これが意外に抜けない。そしてかなりの重量の木でもずるずると引きずって運ぶことができる。
平均直径20cm、4mの間伐材、これを2人で担いで山から下ろすのと、トチカンで一人で引きずってくるのと、後者のほうが断然ラク。しかも安全である。
ただし、上げ荷集材には向かないが、下げ荷なら、人力での木材運びをかなり軽減できる道具だ。