屋久島紀行2.(若狭、鋸谷さんとお水送り)


木曽路で車中泊。名古屋をかすめて琵琶湖方面へ。写真は雪を抱く伊吹山。湖北から福井へ抜けるルートを選んでみた。

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とすると、かの鋸谷さんの家の前を通ることになり、ご挨拶に立ち寄る。日曜だが鋸谷さんは不在で、山の指導に行っているという。相変わらず忙しい人だ。

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中で休ませてもらった。以前、私の会で鋸谷さんの山と家を見に行くツアーしたことがあるがそれ以来の訪問だ。外部は木材の色がだいぶ変わっていたが、中はヒノキの香りがまだ瑞々しい。

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薪ストーブで暖をとる。空間設計も抜群なので、これ一つで温かい。壁は竹子舞に土壁。連絡がとれて「これから山と林道を見に行くので一緒にいきませんか?」と鋸谷さん。

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幅員の広いトラック道だった。施工中の造材業者Tさんにジープで案内してもらった。

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山中はさすがに雪が残っている。間伐が入ったスギ林。よい大径木に育ちそうな林分だ。

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土場で記念写真。左から、鋸谷さん、YK、福井県林業水産部のHさん、Tさん。Tさんは間伐から道づくり、伐採・搬出まで一てに請け負う会社の社長さんである。鋸谷式間伐に惚れ込み、前著もたくさん買って下さったそうだ。林道づくりの新著も早速注文をいただいた。Hさんは四万十式作業道を学びに田邊さんの元へも足を運んでいると聞いて驚いた。鋸谷さんは最近地元のテレビ番組で、ずいぶん詳しく紹介されたという。

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奇遇にも、今日は若狭で「お水送り」がある日だった。鋸谷さんとお会いする度に「あれはぜひ見ておいたほうがいい」と言われ続けていたのを思い出す。せっかくの機会なのでこちらも同行することに。若狭には古刹がたくさんあり、そのひとつ神宮寺。お水送りは1200年の伝統がある。

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奈良の都に神様が集まったとき、ここの神様だけ遅刻した。そのお詫びにここから東大寺にお水を送る、という言われ。10日後、地下を通って二月堂の井戸に届くという。東大寺の「お水取り」は、若狭神宮寺の「お水送り」が無事終わらないとできないのだ。

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ところが、このお水送りは一種の「火祭り」なのだ。寺の本堂から読経が聞こえ、炎が現れる。それを神事の場所に移動。写真は神事「剣の舞」に使われる木製の斧。

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弓矢の神事。

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神事のあとその火でヒノキの葉っぱに覆われたやぐらに点火。中央に大きな炎があがる。

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願い事を書いたたいまつをめいめいに持ち、やぐらの炎から火をつける。そして、

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石段を降り(かなり危ないです)、

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川沿いに、2キロ先の鵜の背というところまで歩く。これが背筋が震えるほど感動的な光景なのだ。「凄い!」「凄い!」を連発しながら、僕とYKは鋸谷さんご夫妻の後をはぐれないように着いていった。

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鵜の背は轟々と音をたてて流れる渓谷の広場である。すでに到着した大たいまつが川辺を照らしている。

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ここでもう一度神事が繰り返される。ホラ貝の響きがいっそう幻想的な効果をあおる。対岸にわたって、

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竹筒に入れられた水が川に流される。

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そして読経の中、たいまつの切れ端が火に投げ込まれる。こうして祭りは終わる。結局、全行程5キロくらい歩かされることになるのだが、年々、参加者の数は増えているそうだ。

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翌日の新聞。

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これが、雨の日も雪の日も、1200年欠かさず続けられた祭りなのである。それには何か意味が込められていると思うのだが、僕が思うに、木と火と水への感謝なのではあるまいか。その確認が、祭りという形になっているのだ。この祭りが終わると「若狭にも春が来る」という気分になるのだそうだ。

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奇しくもこの祭りに遭遇し、参加することになったのも天の計らいであろうか? そう、僕らもこれからお水送りの仕事をするのだ。どこに? ふゆみずたんぼに、である。


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