薪焚きの風呂釜を設置したことは、ちょっとした大改装になった。薪を焚くスペースのために水道シンクをずらす必要があり、ついで食器棚を移動し、あの大御所マッキー君が外されて2階へ。そうして、やや広くなった台所の土間にはいよいよ冷蔵庫が鎮座したのだった(今までは玄関の土間にあった)。
この冷蔵庫はデカイので移動が大変と思われた。アトリエまで荷上げするのにも、薪ストーブ「トラちゃん」に次いで大変だったのだ。しかし底には小さい車輪がついているので、平面の移動はできる。が、台所までに狭い曲がり角と段差があり、天井は冷蔵庫の高さぎりぎり。さてどうする? 考えたのはロープで底をちょいと持ち上げながら移動させること。そのロープはいつものように廃材の畳縁(たたみへり)。
廃材の畳縁は、畳を打ち直すとき出る縁の布(幅70ミリ、長さ1.8メートル)のことで、地方都市の畳屋さんに行けばタダで入手できると思う(僕らはY先生から大量にいただいた)。強度のある化学繊維で、断面が平らなのでロープよりも結びやすく使いやすく、野ざらしにしても保つ便利なものだ。
さて、この移動のごたごたで、スパイスやらお茶やら豆のストックやらの瓶類の整理棚が必要になり、こちらを急ぎつくることに。まずはいつものように丸太→半割→板採りですがな。
耳の部分はヨキではつってカンナがけ。電動ノコを使うのはサイズに板を直角に切るとき。
葉枯らしして1年以上乾燥させたスギ材。赤みが美しいですね。
制作する棚の見取り図。マッキー君がいたコーナーに、引っ掛ける感じで置きたい。そして、底部は大きめの盤でいろいろ置けると便利かな、と。しかし、大きな板が今ないので、相じゃくりで3枚の板をつぎはぎするのだ。
三枚の板が出会う相じゃくりの部分。加重と反りを考えて。
完成。
今回は溝掘りにも電ノコを使ったら途中でずれて変なところを切ってしまったこともあった。これが手とちがって危険なところ。接合部の切れ目はその失敗部分。
下の止めはアリ継ぎの時間がなかったのでビス止め。予定より複雑な補強で万全を期す。
この棚の設置で、台所の空間がまたがらりと変わった。オーダーメイドは空間を把握しながらベストの形をはめ込むことができるのがいい。空間が彫刻になるのです。早朝からぶっ続けで木材と格闘して、途中ノミで指を切ってケガしたりしたが、なんとか完成をみて、出た木の屑でお風呂を沸かした。この薪風呂がまたすばらしいんだな。
木はなんてイイんだろう。森と木と家と、そして土がつながる有機的な暮らしがようやく見えてきた。まだ家づくりを手中にするまでは、道は遠いが、あきらめない・・・。