YKは遅れ気味だった麦の風選を、私は草刈り畑仕事他、こまごまとした雑用をこなして一日が過ぎていく。
ミンミンゼミが鳴き出した暑い日だった。ちょっと動くと滝のような汗をかき、夕刻は虫さされに泣かされる。が、夜は薪風呂のご褒美が待っている。ヒグラシの声を聴きながら、窓から夕暮れの空を眺めつつ、薪風呂のなんと素晴らしいことよ。段ボールなどの紙ゴミも燃やせるのが嬉しい。薪を節約しつつゴミも減らせるのだから。
薪釜のパイプの穴を土で塞いだところはすっかり乾いて、まったく損傷が無い。藁を混ぜた粘土、そして石の組み合わせはいろいろ使えて本当に便利なものだ。この土の文化もまた日本から失われつつある。
今日もまたオオムラサキをみた。小型の♂だ。なんと、建物の裏の便所の蓋の近くの地面に止まっていた。舞い上がってその存在を知り、石垣の上のカシの植え込みに止まったところを写真に撮る。
今日はマムシにも出会った。蜂胴の近くにホウズキを見つけて、周囲を刈りながら育てていたのだが、今日もその草を刈ろうと手を出したらそこに居たのだ。左手が10cmまで接近しただろうか。そのとき鎌首が動いて気がついた。手袋はしていたが危ないところだった。
マムシはその斑紋も特徴的で、シマヘビ、アオダイショウ、ヤマカガシなど他の蛇は人の姿を見ればたいてい逃げるが、マムシは逃げないでじっとしているのですぐそれとわかる。しかし逃げないので簡単に捕まえることができ、人間の強壮剤として食べられたり酒に漬けられたりする。
私はその味も知ってはいるのだが、捕らえずに写真だけいただいた。
「ありがとう、ここにいてくれて。元気でこの夏を謳歌しろよ。水路に落ちるんじゃないぞ」
気品のあるその姿に心から声をかける。日本の国蝶オオムラサキと毒蛇のマムシ、その両方に出会った稀有の日。
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