桐生彦部屋敷


群馬にきて5年。県内の古建築の有名なのはたいがい見たと思っていたが、大物を逃していた。桐生広沢町にある「重要文化財 彦部家住宅」だ。母屋は築380年、民家建築では全国五指に入るという古さ。これ以前は掘ったて柱が民家建築の主流であり、長持ちしないので残っていないのだ。彦部家住宅は礎石へ柱を建てる民家の走りといっていい。

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屋根は茅葺き。内部は案外細い材が使われている。それもスギやヒノキではなくクリやケヤキ、クルミなどの雑木。柱は不揃いだし、大黒柱というのがない。それどころかほぞ穴の開いた古材も使われている。

平日の見学は予約が必要だったのだが、予約をしないて行ってしまった僕らを、当主の奥様が丁寧な解説つきで案内してくださった。茅葺きのふき替えは大仕事だったそうで、茅は九州から取り寄せ、職人さんは東北から、そして滞在期間中は職人さんたちはアパ―トを借りて・・・ということだったらしい。

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在、囲炉裏は使われていないが、文化庁からは「屋根の保存のためにときどき焚いてほしい」といわれているそうで、検討中とのことだった。これだけの敷地なら燃やすものは十分自給できるし、ぜひ焚いてほしいものだ。僕らも自分たちの経験をいろいろお話しし、そう進言したのだった。茅葺きは囲炉裏で常時燻すことで2倍から3倍は長持ちするといわれている。また、夏の虫除けにもいい。

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明治期に建てられた増築部分はかつて織物工場。現在は展示・イベントスペースになっている。

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創建当時は城郭だったという敷地の石垣。渡良瀬川の玉石を研磨加工してツラの平面を出している珍しいもの。目地には粘土が見える。玉石なのにきれいな矢羽積みの特徴がよく出ている、なんとも不思議な雰囲気の石垣だった。

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桐生の街では恒例の「えびす講」が行われていた。高崎の「だるま市」のようなもので、くま手の縁起物を売るのだが、出店の数にしてはお客さんがえらく少ない。

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最近できたというのこぎり屋根レンガ造りの工場を再生したパン屋・喫茶にも行ってみた。内も外もいい感じだったけど、だだっ広い喫茶スペースにお客は僕らだけ。んー、大丈夫か桐生??

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帰路、道がやけに混んできたな、と思ったら、新しいショッピングモール「スマーク伊勢崎」本日オープンでお買い物渋滞なのだった。北関東最大、185の専門店とシネマ&グルメが並ぶ(WEB調べ)というものらしい。

やれやれ、こっちも後で取材に行ってみるか。


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