明け方に着いた北海道小樽港。まだ4:30で外は暗い。小樽は運河と倉庫で町おこしに成功した街だが、もちろん店はどこもやっていない。
が、ここで時間をムダにするような私たちではない。すでに予定は立ててあるのだ。アクティ君をニセコに走らせ、温泉に入りにいく。途中で夜が空け、ニセコの山並みにシラカバの絨毯が映り始める。
イタヤカエデの黄色が冴えている。もう紅葉は終わりに近く、ときおり霙(みぞれ)が落ちてくる中、新見温泉の露天風呂に入る。時間はちょうど8時。本当は日帰り入浴は10時かららしいが、宿泊客がいないからということで入らせてくださった。ひなびた佇まいながら、すばらしいお湯だった。
小樽に戻って散策開始。石造りの倉のサイズがでかい。街路樹はナナカマドだ。
残念ながら町中が観光地モードになっており、安っぽい土産物売り場と化した倉も多かった。それでもきらりと光るカフェあり。おかわりのコーヒーが銅のポットで。ミルクピッチャーは手作りガラス製。
札幌へ。大通り公園にあるイサム・ノグチの傑作「ブラックスライドマントラ」をすべる。石の組み彫刻であり、滑り台にもなっている。
北海道神宮を参拝。
ちょうど10年前、私はここにいた。神殿で記帳をするとき、その日が平成11年の11月11日であることに気づいた。胸騒ぎがして腕時計を見ると、11時11分・・・そして秒針が、まさに11秒を指す瞬間だった。
私はその「偶然の知らせ」の意味を知りたいと思い続けていた。そのときもこの滑り台をくぐった。そのときは友人宅→北海道神社→ブラックスライドマントラの順番だったが、今回は逆順で、このあと友人宅に向かうのであった。
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ちなみにyuiさんの故郷、香川には「イサム・ノグチ庭園美術館」があり、ここには白いスライドマントラの石膏模型が展示してある。晩年のノグチがベネツィア・ビエンナーレで大賞をとった作品の縮小版である(実物はマイアミにある)。
友人のU宅に到着。Uは料理も巧いので10年前も魚を手料理をたっぷりごちそうになった経験あり。今回も・・・。
毛蟹~~~~! この後、イカ刺し、しめ鯖、馬刺、鶏皮鍋、などなど。
しかし相変わらずだなUは。玄関にはウォーホールの複製画。ジャズやブルースのレコードコレクションどっさり。ギターも多すぎ!
で、私たちのお土産は? 地酒の「赤城山」と、もちろん新著のコレ↓
10年前、ここに来たのは1999年だから、夏に四国大川村のイベントで鋸谷さんと出会った年であり、著作へのきっかけをつかんだ重要な年でもあった。私は網走川のイラストマップの取材の帰りに、U宅に寄ったのである。