奇跡の杉、続き


『奇跡の杉』を読了した。さらにネットで検索して、いろいろ追加で調べてみた。

木材適正使用相談センター「適材適所の会」会長 加藤政実氏の考察

http://www7a.biglobe.ne.jp/~ishikou/report_K.htm

杉の効能(適材適所の会のHPより)

http://tekiteki.jp/sugi_kouka.html

乾燥機の開発とリース先「アイ・ケイ・ケイ株式会社」のHP

http://www7a.biglobe.ne.jp/~ishikou/

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これだけスギが植えられて伐期を迎えているというのに、なぜスギは使われないのか?最大の原因は、乾燥が難しいから。伐採直後のスギは水分を大量に含んでいる。そして赤芯の部分の水分がとくに抜けにくい。

水分が抜けないスギは割れや狂いを生じやすい。だから住宅産業では使えない。で、今はどうしているか? というと人工乾燥で強制的に水分を抜いている。

これがどんな方法か? 100度~120度という高温の蒸し窯に1週間も入れておくのだ。このとき木の水分と共に精油分もすっかり抜けてしまう。だからパサパサで抜け殻のような木材となる。強制乾燥の部屋の床にはどろどろジュクジュクのヘドロでべったりになるそうだ。

その材は色もつやも悪くパサパサで、抜け殻のようだ。表面に仕上げ鉋がかからない。だから野地板や構造材にするときはともかく、テーブルなど家具材にするときはサンダー仕上げにしてウレタン塗装をすることが多い。

業界ではこの強制乾燥のスギの質の悪さはタブーになっており、だから現代人はスギというのはこんなものかと思っている。スギに愛着が湧かないのはあたりまえなのだ。

昔はそうではなかった。木が水分を吸わなくなる秋に伐り、葉をつけたまま山に寝かして赤芯の水分を抜けやすくし、その後自然乾燥させた。今、このような悠長な乾燥期間をとることは消費社会の流れが許さない(しかし、自分で山を持っているなら、昔の方法をとることは簡単なことだ)。

私は旧アトリエで、上記の昔の方法をとったスギ材を、燃料用に薪割りしていたのだがそれがあまりに美しいので床に使ってみたのが気づきの発端だった。人工乾燥と昔の方法と、これほど違いがあることを、いままで誰もはっきりと教えてくれなかった。これは極めて重要な事実なのだ。

アイ・ケイ・ケイの45度の超低温乾燥が、100度の高温乾燥よりもずっと早い時間で含水率を下げることができる、というのは現代の理論では説明できない。人工乾燥の権威の学者もお手上げ、学会は黙殺だそうである。科学的理論で筋道がつかないと採用できない、というのだ。

もうひとつすばらしいのは窯から出した後のリバウンドがないこと。人工乾燥では出した後に狂いが出る。だからストックのスペースと時間が必要になる。超低温乾燥は小ロットでできるしすぐ材を出荷することができる。つまり、山本でこれを使えば、究極の産直が可能なのだ。

複雑きわまる木材の流通事情によって、山の木の値段は製品になると20倍にも値段が跳ね上がることもある。これを変えることができる。それはトラック輸送のムダを無くすこともできる。そしてスギ山の活性化は山村の仕事を産み、過疎化を打破する大きな力になる。材を出すにはすでに「四万十式作業道」という切り札があるのだから!

「日本の山の4本に1本はスギ。しかしスギは現代建築ではその能力の10%も活かしきれていない」

スギの中でも乾きが悪い「黒芯」はゴミ同然に扱われていたが、超低温乾燥だと銘木に変わることも付け加えておこう。

そういえば私たちがこれからカフェに改装しようとする工場の床はスギである。明治時代の建築なのでもちろん昔の乾燥方法のスギである。そして、コタツテーブルには昔の醤油樽のフタを逆さまにして使っているのだが、こちらもスギである。

仕事がはかどるわけだ(笑)。

追記/昨年2009.12.14、アイ・ケイ・ケイの低温乾燥はテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」で紹介されたそうだ(8月に特許取得)。

以下、アイ・ケイ・ケイのHPより。

・・・無垢の木材(本物の木)について・・・

普段一般に使用されている天然木材は、防かび剤や防虫剤が使用されている事をご存じですか? もちろん、使用されてない国産材もあります。

その薬品には劇薬から天然成分まで様々ですが、人体に危険な物質が、かなり使用されています。特に輸入木材やカビの生えやすい木材、シロアリに食べられやすい木材等は、検疫機関や公共試験機関等の指導や推奨により劇薬も使用されているのが現実です。

しかし、それらの物質を使用しないためには、国産材の乾燥が重要となっています。超天然乾燥装置「愛工房」では薬剤を使用しない木材の生産に一役かっています。

伐採→製材→乾燥→加工→納品
原  木:化学薬剤 不使用
加工製品:化学薬剤 不使用

なるほどね。大型ホームセンターの木材売り場がケミカルな臭いで充満しているのをいつも疑問に思っていたが、無垢の木にも防かび剤や防虫剤がついているものがあるとは・・・。


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