旧アトリエを午前中に出て高崎へ。行き先は榛名町総合文化会館エコール。文化庁の平成21年度「地域文化芸術振興プラン推進事業」の一環として、今年3月まで、県内各所で子どもたちを対象した文化活動が開催される。そのひとつ、劇団汎マイム工房による大道芸「マイム&クラウン部会」を見に行く。
なかなか見応えのある演技だった。この部会の代表で実行委員会副委員長でもあるIさんからのお誘いだったのだが、Iさんの息子さんがこの工房の大道芸人のひとりなのだ。
「今、子どもたちの世界では、コミュニケーションの欠如による数々の問題が起きています。パントマイムは言葉のない世界、だからこそ国境を越えて分かり合えるコミュニケーションツールとしても親しまれています。昔の子どもに比べると、今の子どもたちは体験が不足しています。この機会に、本物の大道芸に触れ、参加して、体験して、自分の持ち味や可能性を発見してもらえたら嬉しいですね」
とは、Iさんのメッセージ。
会場を出ると珍しいレンズ雲が出ていた。
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さて、今日のお題はここからだ。
夜は忍木菟屋の囲炉裏に戻ってステーキを焼く。な~にステーキといっても正月の売れ残り半額商品。でも一応ロースの霜降りだぜ♪ まずは冷蔵庫から室温に戻すために肉をスギ板に貼付けて囲炉裏端へ。付け合わせのの小ジャガイモは灰の中で蒸し焼きに。鉄瓶の中にはお銚子。安赤ワインもこうして飲めばなかなかのもの。
鉄の吊り鍋に変えて塩胡椒した肉の両面を焼く。油は敷かなくてもぜんぜん平気。
それを再び杉板にとって包丁でざくざくと切り・・・
柚子をしぼりつつ頂きます。
灰から取り出したジャガイモは囲炉裏の木枠にコンコンとぶつけて灰を落とし、皮をむきつつ食べる。濃厚爽やかな甘みと香りが味わえる、最も美味しいジャガイモの食べ方だろう。
スギ板(床板材の端材である)はまな板にもお皿にもできるが、実はここで言いたかったのは下ごしらえ時に肉の余分な水分を吸い取る効能である。たとえば2枚のスギ板に材料を挟んでおけば、ピチット(浸透膜の性質を利用して食品から水分を抜く商品)と同じかそれ以上の効果がある(スギの精油分が食品を美味しくする)。
翌朝、固まった脂汚れのついたスギ板は、ヨキで表面をハツってしまえば、また真新しい表面が現れ、何度でも使える。使い捨てだが、石油製品のようにゴミにならない。破片は燃やせばいいのだから。
スギは食品を美味しくする。味噌も酒も漬け物も、昔はみんなスギ樽で作られた。こんなすばらしいスギが、いま山に放置されているのである。もしくは強制乾燥させられて、死んだ木となって流通しているのである。
ちなみに、ステーキ肉の値段は600円である。もうばかばかしくて、お店でステーキなんて食べれないのでした。