桐生祭り、鋸谷式間伐10年


暑いですね。前夜のビール。近所のNKさんから黒ダイスの枝豆を貰った。

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お皿は九州の小鹿田焼です。

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午後から紙芝居ライブの打ち合わせ。10月初旬、梅田の「たかぞの保育園」で演る予定。その足で桐生祭りへ。

今日は初日。明るいのでまだ八木節は始まっていない。路地で(建物を壊した跡か?)焼きそばとビール。路上は照り返しが暑くてたまらないが、この路地は日陰でいい風が通る。こんなところに木造の町家を移築して格子戸で中庭に井戸を掘って・・・などと想像がふくらむ。

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八木節が始まるまで喫茶店に避難。途中で大きなヤナギの木を見る。いずれ保存樹になるほどの立派な木。

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役所近くの喫茶「観覧車」でハンバーグを食べてみる。いろいろソースの組み合わせが選べ、これはデミとトマトの卵乗せ。ソースはあっさり、肉はジューシーで美味いです。今度は定食で食べてみよ。

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喫茶店で新聞をひらくと、先日の広島豪雨の土砂災害に関する考察が書かれている。写真から一見して間伐遅れのヒノキ人工林。内容では根の浅い過密な人工林の手入れ不足が引き金はみえみえなのに、数千年に一度の雨がどうの地盤がどうのと、人工林にはまったく言及なし。6年前の同じような被害(こちら)の教訓から何の進歩もないようだ。

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いや、確かに6年前の被害をかんがみて間伐を推進したふしはある。たとえば広島では「環境貢献林整備事業 」として間伐(伐採率30%以上)による人工林の健全化,強度間伐(伐採率40%以上)による針広混交林化,被害木の伐倒整理等に16市町1,332ha、実質額5億円以上を使っている。

だが、ほんとうに緊急間伐が必要な場所が精査されているか? また、間伐率が弱くないか? 間伐率とは材積率を言うので、間伐遅れのヒノキ林の場合、本数にすると5割以上を伐ることになる。ふつう作業者はこれを伐り過ぎと感じて躊躇する場合が多い。本数率で3~40%の間伐では5年で元の暗い林に戻ってしまい、下層植生は生えてこない。このあたりを理解・チェックしているのか?

鋸谷さんの新著

『鋸谷式間伐 実践編 なるほどQ&A 森林の健全度を高めよう』(全林協)

が届いた(私もイラスト流用でお手伝いさせていただいた)。中に森林組合等の作業例がいくつか出ているが、強度間伐を周囲に理解してもらうことの困難さが現れていた。その理論を普及しきれない指導側にも大きな問題がある。しかし「鋸谷式間伐」はいわば在野から出たものなので(鋸谷さんは県職であったが、それを解りやすく社会化したのは私だった)、研究機関からやっかまれ、多くのマス・ジャーナリズムからは黙殺された。日本ではトップが認めないものは公的推進は難しい。

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以下、Amazonの内容紹介より。

『鋸谷式 新・間伐マニュアル』が大反響を巻き起こして10年。その後、著者に寄せられた読者の疑問、現場からの質問にズバリ答えたQ&A方式の本です。鋸谷式間伐をより実践的に紹介しました。(中略)本書では、鋸谷式間伐の実践ポイントを解説し、全国の「鋸谷式間伐」の実践事例、現場でのさまざまな工夫、質疑応答などを入れ込みました。間伐の効果が一目でわかるように著者が開発した「林分健全度グラフ」も必見です。林分の健全度の判定や10年後の健全度を予測することができます。『鋸谷式 新・間伐マニュアル』と合わせてぜひお読みください。

お役人さんや森林組合関係者で「鋸谷式間伐」に感動し、自分で何冊も本を買い込んで方々に配っていた人を私は何人か知っている。「在野から出た新見解は、それがどんなに正しく優れたものでも、官学の学者が認めるまで10年は干される」と、ある人に言われたことがある。今回の本、序文は東大名誉教授の養老孟司氏。なるほど、ちょうど10年だ(笑)。

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挿し木苗で直根がない人工林が間伐されず(間伐されたとしても弱い間伐しかできず)保水力が落ちている。気象災害はますますひどくなる。これからも土砂災害が増え、死者が出るだろう。私は声を大にして言いたい。「これまで鋸谷式間伐を黙殺してきた研究機関やマス・ジャーナリズムの人々よ、あなた方は殺人者も同然である」と。「今からでも遅くはない、懺悔して少しは償ってみたらどうか」と。

ともあれ、鋸谷さんご出版おめでとうございます。


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