先日、わが家にお泊まりして近辺の山を観察していった九州の虎丸さんのブログ(こちら)でクマに対する見解でコメントが飛び交っているようだ。その中で「今のままでは、林野庁が解体する前に森林は再生不能レベルまで荒れてしまうでしょうね」などという書き込みがあった。再生不能レベルとは何か? この人は森林の荒廃をどのようにとらえているのだろうか? これは日本熊森協会の方々の山に関する認識にも通じるところがある。
熊森では「過去に奥山の天然林が伐られて、人工林に変わってしまった。その手入れがされていなくて荒廃し、クマの食料がない」という。
それはある意味正しいが、今では間伐された人工林もあるし、放置したまま雪折れが入って自然の間伐によって植生が回復している人工林地もこのごろは多い。
そして何より、過去に西日本で吹き荒れたマツ枯れ旋風の跡地はどうなっているか? 私は、今年の5月に九州の虎丸さんの所に取材に行く途中で、岡山~広島~島根~山口の山を縦断しながらマツ枯れ跡地を撮影してきたのだが、その跡には見事に広葉樹が回復していた。
これを見るといま、日本の山は荒廃ではなく再生しまくっているようにも見えるのだが・・・。
宮崎学『となりのツキノワグマ』によれば、クマはマツ枯れ木に入る昆虫やシロアリも好物だそうだ。
極相のシイ・タブなどが戻っている里山地。まるで原生林のような回復状況と言えないだろうか?
国道2号線沿いのマツ枯れ跡地、ここはかなり前に枯れたマツがすでに広葉樹に埋没して消えかかっていた。
島近郊。マンションの裏に広葉樹が育つ。
津和野あたり。里山も荒廃というけれど、本当にそうか? 深い山に戻りつつあるのでは。里山の深山化。
山口に入ると常緑樹も旺盛に花を咲かす。
かなり奥地だが、人工林ではない深い森も残っていた。
マスコミはマツ枯れやナラ枯れは騒ぐが、そのあと自然回復している様子を報道したことがないのではないか。植えなくてもこれだけ自然に回復するのが日本の自然のすばらしいところである。それを林業技術になぜ活かさないのだろうか?
コメント