お客さん4人来訪。神奈川から「脱石油型社会へ移行していくための草の根運動」をしているYさん他、ホリスティック医学系の歯医者さん、それに桐生で断食道場を主催する方々など。
囲炉裏にあたってもらい、スギの厚板のフローリングを実感してもらう。自ら製材して(割ってはつって鉋をかけた)作ったということも驚かれたようだけど、何の塗装もない自然のスギ材の油脂と、囲炉裏の灰が降ったあとの雑巾がけで生まれたその板の輝きに、感銘を受けられご様子。母屋の和室でコタツの行火や、愛用している小さなケヤキの箱火鉢を見せながら、私たちの自然エネルギーの暮らしを見ていただいた。
その後、工場跡のほうで薪ストーブを囲みながら歓談。桐生で断食道場を主催する2人は、ログハウスの中で薪ストーブで暖をとっているという。やはり薪の消費が多くて薪集めに苦労しているそうだ。
薪ストーブは本体に50万(ヨツールやバーモントなど触媒2次燃焼装置付き)、煙突に50万(二重煙突+工事費)=計100万円を使って、しかも広葉樹の硬木の2年乾燥モノの薪を使えば、たしかに快適で薪が節約できる。硬木の薪を森林組合等から購入すれば、一シーズン3万円以上は薪代がかかるだろう(※)。
だが、この不景気にやたら高い税金類をむしり取られている庶民にそれは無理だ。フツウは箱形鋳物ストーブでシングル煙突で、しかも間伐材針葉樹薪で乾燥も不十分だったりするので、たいがい薪の消費が多くて薪集めに苦労、しかも結果たいして暖かくない、ということになりがちなのである。
薪を選ばず、そのときその場所で手に入る薪を使って、シンプルに暮らすにはやはり囲炉裏の存在が不可欠なのだ。なにしろ囲炉裏は薪ストーブの1/5以下の薪消費量で済むのだから。モンダイは煙の抜けと掃除が必要なこと。
現在の忍木菟屋の囲炉裏の煙抜きは、夜間の抜けはとてもよく快適である。ところが日中陽が照ると、逆流したりして煙がこもってしまう。そのときは換気扇を回して排出してしまう。住むその土地の風向きの流れを把握し、換気扇を併用すれば現代住宅でも十分可能と思う。掃除は電気掃除機では灰の粒子が詰まりやすく不可。やはり雑巾がけがいい。
囲炉裏の素晴らしいのは料理の幅が広く、かつ暖がとれて火を囲んだコミュニケーションがあることだ。カマドとしてのロケットストーブもたしかに便利で、私も今いろいろ使ってみているが、これで暖はとれない。暖房用のドラム缶の大型ロケットストーブは燃費の点ですばらしいかもしれないが、使わない夏の時期にドラム缶を眺めるのはしんどいな、デザイナーとしては(笑)。
ともあれ私たちもいろいろ気づかされた有意義な時間であった。年末にもう一度彼らと会う約束をした。
*
※こちらのHP(誰も言わなかった薪ストーブの話)によれば薪ストーブ一冬の薪代は3万などという甘いものではなくストーブに頼りきりだと一冬12~18万円、寒冷地では36~54万円(!)だそう。
また薪ストーブ(鋳鉄製)の寿命は
「これも使用頻度や燃やし方などによって差異があるのでいちがいに言えないのですが、十年~二十年くらいでしょうか。全く使わなかったためにかえってサビが上がったり、劣化が進んでしまい、数年で使えなくなる、なんてことも無いとは言えません」
と書かれている。高級機でさえけっして一生モノではないのだ。
以前、川口で鋳物を扱う金物屋の親父と話したとき、鋳鉄カマドや薪風呂釜を長持ちさせるコツは「できるだけ毎日のように使うこと」それが錆や劣化を防ぐと言っていた。とすると、1年のうち約半分は使われない薪ストーブの劣化は当然早まる。まして夏に梅雨などの湿気がある日本ではなおさらだ。
ふむ、いま林業再生とともにブームを迎えた日本の薪ストーブ屋さんは、きちんとソロバンを弾いているのかも?