今年最後の集落支援員。持倉で、2件のお宅でもてなしを受ける。
その一つ、SIさん宅にて。昔の囲炉裏スペースに時計ストーブを置く。囲炉裏は消滅したが、そこにホームセンターで一番安く売っている薪ストーブ(5~7000円くらい)を入れている、群馬ではこれが非常に多いパターンだ。
で、煙出しはというと、SIさん宅では土壁をメガネ板(コンクリート製)で突き抜いて、上に上げると思いきや、なんと下向きに排出、そこに一斗缶を置いている。中には水が入っている。実は、これもまた、群馬の養蚕古民家ではよく行なわれている方法なのだ。
何故かと言うと、群馬の養蚕古民家は2階の屋根がもの凄く高い。だから、1階の薪ストーブの煙突を直で屋根に抜こうとすると、煙突の長さがとても必要で、お金がかかりすぎるし、ブリキの時計ストーブはよく発熱するので煙突の引きが良い。だから横に引っ張っても排出口を下向けても平気。受けた一斗缶の中の水は、いつしか木酢液になってそれを農業用に使ったりするのだ。「リーンバーン燃焼とコンベンションシステム」などと最新技術を標榜する50万円の薪ストーブの世界と、まったく別の薪ストーブライフが日本の山村には存在するのである。
2軒目のHIさん宅では掘りごたつに当たりながら話を聴いたのだけど、このコタツ、冬中火を絶やしたことがないという、いつも炭を入れ続けているのである。田舎の掘りコタはたいがい囲炉裏の後に構築されたものである。その囲炉裏は、石組みの基礎と壁に被われ、そこに粘土を貼り回してある。中にいつも火が入っていると、石と土の蓄熱効果も大きい。家全体がじわわわ~んと暖まっているのである。
*
今日の宿はお隣秩父吉田町の「かおる鉱泉」(前回の記事はこちら)。万場の酒屋で「鬼面山」を仕入れておいたので湯上がりに飲む。
この宿は湯質もすばらしいけど、ご主人の料理がまた良い。私は「絶対に板さんやってた人だ」とにらんでいたのだが、訊けば浅草で洋食屋にいたことがあるという。
朝食。フツウなんだけど美味しい。
ご飯と味噌汁が美味しい。これが今の日本では失われてしまって、バカ高い旅館でも味噌汁をぞんざいに扱っていることがあるけれど、ここのは美味しい。味噌汁が美味しいということが日本だ。
そしてお茶。この茶葉の質に宿の気持ちが見える。秩父の水もいいのだろうが、お茶も良かった。
よき冬至の日。