讃岐七富士のうち最も東にある三木富士(みきふじ)=白山(はくさん、ではなく「しらやま」と読む)。標高202.65m。手前の畑の栽培植物は葉タバコである。
ここに「静薬師堂」がある。静御前が源義経の菩提を弔い念仏三昧の日々を送った地であるという。墓と石塔があるが異説は全国にあって福島の郡山市や群馬の前橋市にも同じような場所がある。静がここに居たなら白山を毎日見ていたに違いなく、東国/鎌倉への行き帰りに出会った富士の景色と重ね合わせていたのかもしれない。
静御前が義経から形見にと贈られた鼓(中国伝来の名器で重源が唐より持ち帰り後白河上皇が平清盛に下賜した平家の家宝。その後、屋島の合戦で波間に漂う鼓を伊勢三郎が見つけて義経の手に渡ったというもの)を、俗世と縁を切る証しとしてこの渕に投げ捨てたといわれる史跡「鼓渕」。昔は泉が湧いていたらしいが、いまは田んぼの中の水路になっている。「静鼓投げたる渕や湧く清水」と石碑に刻まれる。
サルトリイバラが林縁に大きな葉をわさわさと繁らせる。西日本ではこの葉を柏餅に使う。ルリタテハはこれを食草とする。
白山に静飛び立つや瑠璃立羽(しらやまにしずとびたつやるりたては)
梅雨が明けた。