大阪の現場は、当初は立ち寄る予定はなかったのだが、西日本豪雨の被災場所のお寺の敷地だというし、帰り道すがら同行することにした。
新大阪で、お迎えの車が来る時間よりも早く着いたので、外に出て朝日の光景を見ながらお茶を飲みたいという矢野さんに着いていくが、そんなカフェがいっこうに現れない。それどころか全体に殺伐としており、公園の木々はひどく短く切り込まれているのだった。弁当屋の前にテーブルがあり、奥に折りたたみ椅子を見つけた矢野さんが突然、
「ここで休ませてもらおう」
と、カップ味噌汁とペットボトルのお茶を買ってきた(笑)。目の前は公立高校のキャンパスなのだが味気ないコンクリートの塀が並んでいるばかりだった。グーグルマップで現在地を送ると、弁当屋の前までお迎えのSさんが車を横付けしてくれた。
高貴寺は大阪とはいえ葛城山系の修験者の寺がルーツとのことで、山深い雰囲気を備えていた。驚いたのはクライアントでもある若い住職が台所の板の間で炎の囲炉裏をもやしていたことだった。