保育園のサクラの葉が散って、バルコニーから男木・女木の島々が枝越しに見えるようになってきた。午前中をかけて男木島石垣の論文を読んだ。島の人たちへの聞き取り調査が興味深かった。ほとんどの人たちが石垣を積んだ経験がなく、積める名人はひと世代前で、みな故人になっているということだった。
さらにほとんどの住人が、石垣の構造について、メンテについて、あまり知識を持っていないようだった。論文の調査は2010年に行なわれたものだが、この年は瀬戸内国際芸術祭が開催された記念すべき年でもある。華やかなイベントの影で、島では深刻な問題が進行していたのだ(それに関して、これまで誰も危機感や注意喚起をおこさなかったのも不思議なことだ)。