キノコのちから


木の「伐り旬」というものがある。木材を使う場合、その木をいつ伐り出すか? で、その材の質はずいぶん変わってしまうのだ。木も竹も、材として使うなら伐るのは「秋」が最適といわれている。もっと幅広く表現するなら、お盆過ぎから年内まで。すなわち9~12月、といっていいかと思う。

この時期は木が水を吸い上げない、活動が止まった時期だからで、8月のお盆の時期なんてまだ旺盛に木は水を吸い上げ成長しているんじゃ? とか、1月なんてまだ冬だから伐っても大丈夫では? などと思うかもしれないが、木(植物)は人間の感覚よりも常に季節を先取りしているのだ。

アトリエに来て最初の冬、’05年の1月9日にクヌギの大木を伐った。そのとき、すでに水を吸い上げており、切り口からしずくがポタポタと落ちた話しは前のホームペ-ジにも書いた。

それを仕立てた薪は、やっぱり虫食いが酷かった。1年目の夏、薪置き場にたくさんのカミキリムシが来ていた。キイロトラカミキリが非常に多かった。秋頃から薪の中でカリカリと音がする。中枝などは穴だらけで地面に叩くと折れてしまうほどだった。これには驚いた。

そして薪2年目の今年、第二回目のカミキリムシ様、飛来。産卵を経て、またまた幼虫がいるのであった。ノコギリで薪を切ってみるとまるでレンコンのようになっている。これじゃ薪としての歩留まりは半分以下だ。クヌギは本来、硬い木で、マサカリを跳ね返すほど稠密な材質である。が、穴だらけにされたその穴には、カミキリムシの幼虫の食いカスや糞が詰まっている。薪だってくすぶる。

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