春のタコ飯


朝、NHKテレビの『生活ほっとモーニング』という番組でタコ料理をやっていた。ちょうどタコ焼き用のタコが余っていたのでタコ飯を作ってみる。昆布と鰹節でダシをとり、酒、みりん、醤油、ショウガ(わりとたっぷり)で2mmくらいに切ったタコを入れて米を炊くのである。ここでも「五人娘」というナチュラルな日本酒をたっぷり使ってみた。

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生放送のこの番組では、炊飯は土鍋で炊いていたが、調理人が「電気釜で炊くよりもこのほうがずっと旨いですよ」と思わず漏らして笑ってしまった。スポンサーの影響の強い民放ではちょっと言えない×言葉だろう。

直火で炊くと旨いだけでなく、電気よりも時間が短縮できる。僕らは相変わらず羽釜+チビカマ+スギ薪で炊いている。庭先にミツバがたくさん芽吹いている。それを摘んで味噌汁をつくる。

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高級米+浄水器の水+電気釜の炊飯と、並米+山水+薪火の炊飯を比べるなら、後者のほうが絶対に美味しいと断言できる。日本人は水と薪の火という大切なものをいとも簡単に棄ててしまった。その代償はあまりにも大きい。そのツケは、まわり回ってタコの棲む海にまで影響してくるのだが。

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『現代農業』の連載「山暮らし再生プロジェクト」の中で料理をとりあげたとき、「川も海もダメになったら、最後の砦は山しかない」と書いた。これは全国各地を見渡してみて偽らざる実感である。その山すらも守れないなら、これはもう全員揃って破滅するしかないのである。