81番札所「白峯寺」へ。
これは「納め札」といって、四国遍路グッズとして欠かせないものだ。この紙に日付と所在・名前を書いて、本堂と大師堂に納めるのである。お大師さんに自分の素性と願い事を伝えるため、というのだが、私は神仏に願い事をするのは好きじゃないので、「願意」は空欄にしている。
この納め札は一番札所で購入したものだが、用紙は遍路の回数によって色分けされていて、それを使うようになっている。1~4回は白、~7回までは緑、24回までは赤、49回までが銀、99回までが金、100回以上は錦の色を使う。
四国88箇所巡礼1,300キロ超の道のりを、10回以上も為せる体力や財力や時間的余裕がある人がいるのか?ましてや50回?100回???などと思うのだが、実際に札入れの中をちらりと見ると緑や赤札が入っていることがあり、錦の札もちゃんと販売されているのである。
境内に「あしあと1200プロジェクト」のポスター(動画はこちら)を見つけた。
本堂。
本尊は千手観音だ。毎年7/1の千日会で本尊の御開帳があるが、今年は7月中拝観できるようだ。
大師堂。
錫杖が立つ。
ここには都から四国に流された崇徳上皇の御霊所がある。その崇徳を祭る頓証寺殿の前に天狗の石仏が(この写真は昨年秋に撮影したもの)。
崇徳上皇を偲んでこの地を訪れた西行の石像や歌碑もある。御廟までの路はひと気がない(以下3枚は一昨年の夏に撮影)。
たどりつく白峯御陵。この地に茶毘埋葬される。
駐車場の方から白峯御陵へ直接向かう参道。
崇徳の配流は讃岐の歴史の中でも最もドラマチックなものの一つだ。死して怨霊となって京の町を混乱に落し入れ、転じて四国の守り神となる。政争が苦手で和歌が得意だった。だのに、結果として天から矢を放ち、世を変革していった。義経と同じシンパシーを感じてしまうのだ。
*
五色台の山はヤマザクラで満たされている。マツ枯れ跡に自然発生したものだが、今後うまく間伐していけば、すばらしい桜山ができるのではないだろうか(国立公園なので法制上難しいと思うが)。
コバノミツバツツジもマツ枯れ跡地、とくに岩が露出している場所に多い。関東の深山で見られるムラサキヤシオに色も咲き方もよく似ている。だから瀬戸内の乾いた岩場でこの花を見ると不思議な気分になる。
*
ふもとにある神谷神社へ足を伸ばしてみた。社殿は鎌倉時代の建築で国宝である。以前、10年前にここを訪れたときは社殿近くには立ち入れないので遠めに眺めていると、犬の散歩のおばさんが「ごらんになりますか?」と囲いの戸を開けて中に入れてくれた。おばさんは詳しい説明をしてくれ、石垣に白蛇が棲んでいると言った。
国宝だというのに、近くに荒廃竹林が目についた。でもオドリコソウの群生が美しかった。