今日は、玄関に掛ける額画を実際に現地で置いてみて、どんな様子になるか見にいくことにした。
施工途中の和室に床柱が入っていた。心配していたけど意外にいい! この木は私がヨキ(手斧)でハツったヒノキ丸太である。最初、皮をむいたのだが、伐採後時間がたって虫が入っていたので、ハツってみたら味のある痕(あと)ができたので(こちら)、これを床柱にしてみようと考えた。
正面から。ここに幅が1間半の1/2(約1.35m)、奥行きが半間(約0.9m)の段付きの床の間を作る。
ちょうなで削って美しいさざ波を作るのは素人には無理だが、ヨキででたらめなハツリ痕をつけのなら私でもできる。もちろんある程度の慣れも必要で、バリも残ってしまう。しかし、ここにはめ込まれたものは、他の素材と響き合って、いい感じに輝きそうだ。
背割りは入れなかったが、割れは自然に入ったので、そちらを後ろに入れている。
トイレの棚が入っていた。
この広いところに砥部焼の手水鉢が入る。
おっと、今日の目的はこれだった。玄関の空間に実際に置いて調子を見る。よかった、空間に負けていないね♫(絵にはモザイクをかけています。公開は完成後)。掛けるためのフックを据える位置を確かめる。木部の位置を確かめながら座標決め。
床の間の素材、前回は暗かったのでフラッシュで撮ってみた。おお、トチノキにはけっこう全体に杢が入っている♫ 左は床の間の前のほうにくるスギ。赤みと木目がいいね。
2階では棟梁が小屋裏の床板を打っていた。ここは主に仕事関係の収納スペースになる。
今日は電気屋さんも来ていて、吸気口のフードを取り付けていた。このフードもけっこう目立つので、形にはこだわった。昔は「半球型」が多かったが、いまは「コアラの鼻型」が多いらしい。が、その形は好きじゃないので「ランドセル型」にしてもらった。
小屋裏の上部にも2つ。これらの数と位置は風量の計算式があってそれに従って設置する必要がある(そうしないと認可申請が通らない)。
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途中で工務店の社長来訪。珪藻土の色サンプルを持っていたのでそれを見て色を決めた。内部の塗りは全体を白い土佐漆喰でいくが、和室だけはやはり色を落とした土壁がよい。とくに掛け軸を下げる床の間は、白壁だと作品の余白が引き立たない。
広い和室の場合、床の間にはさらに色を落とした(暗くした)土を塗る場合も多い。そのほうが作品が冴えるからだ。しかしこの和室は部屋が小さく、塗り壁のブロックが小さいので同じ色で十分だと思う。
和空間のアートは何も茶室だけの専売特許じゃない。床の間のある和室なら意を凝らせば同じものができる。それにはトリッキーなモダンにするのではなく、木と土と紙の力にゆだねればよい。もちろん職人さんたちの腕が前提条件であるのは言うまでもない。