今日も職人さんたちは休みのようだった。が、配電盤が取り付けられていた。見た目が昔とはぜんぜんちがいますね。
2階にあがって写真を撮る。
洋風(大壁)になると、普通は柱や梁はほとんど隠れて木構造の感じ(良さ)が消えてしまうが、このように一部を見せると楽しい。ただし梁がベイマツや集成材ではどうかな? やっぱりスギの木目と適度な節が美しく味があるわけで。
以前「このような段差の納まりが建築の見所であって、完成後に美しさがにじみ出てくる」と書いた台所とロフトの角。
白いクロスが張られて際立ってきた。建築は陰影の美しさだから。
曲がり梁や太鼓落としの梁を使うという手も考えたが(香川には古材を扱う店が何軒かある)、大工さんの仕事がおおごとになり、金も時間もかかり、現実的ではない。だいいちそれに合わせる柱のことも考えねばならず、そこだけ目立ってバランスがとれないへんてこなものになる。
というわけでふつうの角材の梁を使ったわけだが、長いスパンを飛ばしているので梁せいが高い。それを支えるヒノキ丸太は木材業界の分類上は「出節丸太」ということになるが、銘木として床の間や玄関などに使われるものよりは表情がおとなしい。しかし北山杉の磨き丸太よりはごつごつと表情があって面白い。
一般にヒノキの磨き丸太は、あまり生産されていない。スギのように真っすぐで真円には育ちにくいからだ(色合いも白っぽくて浮いてしまいがち)。この丸太柱はには死に節もあり、自然の割れや虫食いの穴も残っているが、それをデザインの一部として楽しんでしまうのだ。
もちろん大工さんの精度の高い仕事とワンセットになって初めてこの不定形は生きてくる。床と壁の見切りである「幅木」、その45度合わせの納まり。
天井と壁との見切りにつける「廻り縁」。2階天井は屋根に倣い3分勾配なので壁と突きつけに90度ではなく106.7度の角度がつく。そこを削った上で平面的に45度合わせの納まり。
ここは配線の関係でどうしても壁が出てしまったらしい。
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今後、ボードの継ぎ目やビス穴をパテ埋めで隠す作業があり、それから壁塗りをする。その前に、およそのネジ位置を控えておく。ここに支持材のバラ板が入っているので今後のDIYの棚づくりなどのために。
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白い漆喰が塗られるといよいよスギ・ヒノキの現しの部分が輝いて見えてくるだろう。若い人が好むホワイトキューブハウスにも国産材のスギ・ヒノキの組み合わせをどんどん取り入れたらいいと思う。
いつまでも旧態の木造デザインの家ではこれからのお客さんがついてこないだろう。かといって、ホワイトキューブではそこで育つ子供が心配になる。赤ちゃんは3歳までに脳の情報処理の仕組みが形作られるという。白い壁や天井だけのオシャレすぎる家での育児はよくないらしい。
京都で茶室や住宅を作る若い設計家が「生きた木にプラスティックの添え木を針金で縛り付けて作る磨き丸太は使う気になれない。節や曲りの自然の風合いの木を活かしたいが、こうした感覚は銘木屋さんや大工さんにはあまり理解されないようだ・・・」というようなことを書いていた。
このようなちぐはぐが進みながら、相変わらず日本の林業は取り残されているように見えるが、この家はそれらを融合・統合しながら、林業と木造住宅のデザインに希望と新機軸を与えるものにしたい。